PC版『アークナイツ:エンドフィールド』の推奨スペックを見据えてグラボを新調した

【注】記事を執筆した2024年2月時点で『アークナイツ:エンドフィールド』は開発段階にあるため、あくまでテクニカルテストの情報を元に執筆した記事となります。今後の開発次第で推奨の動作環境は変更となる可能性がある点をご了承ください。

23年10月より矢継ぎ早に情報が解禁され、24年1月にはテクニカルテストの実施に至ったアークナイツ:エンドフィールド。未だ詳細なリリース日は明かされていないが、運営を担うGRYPHLINEが別作品『エクスアストリス』をリリース1ヶ月前に突如として告知したように、急ピッチに配信日を決める可能性は否定できない。

急なローンチが予定されたところで、ユーザー側として困ることと言えば解禁日の有給取得くらいだろう。だが無印アークナイツやエクスアストリスとは異なり、エンドフィールドが高画質な画面でのPCプレイに対応したゲームとして制作されている点は特筆に値する。既に適切なゲーミングPCを所有しているユーザーからすれば特段焦ることはないだろうが、これまでPCゲームをそれほどプレイしてこなかった筆者としては死活問題だ。

エンドフィールドは対応プラットフォームにiOSやAndroidを挙げているため、従来のアークナイツ同様にスマホやタブレットで普通にプレイすること自体に支障はないだろう。だが、デモとして公開されているスペシャル映像を見ると、無印アークナイツでは味わえなかったゲーム体験を期待することができる。

広大なフィールドを縦横無尽に駆け回るキャラクターたち、巨大な施設に圧倒されながら探索するマップ、目の眩むようなエフェクトでプレイヤーを翻弄する敵ユニットetc…。その世界観を考察する上で、どんな些細な変化であろうと見逃したくないという気持ちが募る。日々の周回であれば小さな画面の端末でも事足りるだろうが、どんどん拡張されていく巨大なコンテンツから得られるゲーム体験をより印象深いものにするには、やはりPCやPS5といった環境でプレイするのがベストだろう。

あいにくPS5を持ち合わせておらず、今のところ購入する予定も無い。そこで、PC環境を整えていくことで来たるエンドフィールドのリリースに備えようとした筆者の思考プロセスを示したものが、本記事である。

エンドフィールドの推奨動作環境

テクニカルテストに際して、エンドフィールド公式サイトで示された推奨動作環境は、CPU「Intel Core i5-10600K以上」、メモリ「16GB以上」、GPU「NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER以上」となっている。より詳細に表でまとめると以下の通り。

<テクニカルテスト 推奨動作環境>

  • システム:Windows 10 64bit以上
  • CPU:<推奨>Intel Core i5-10600K以上 <必須>Intel Core i5-9400F
  • GPU:<推奨>NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER以上 <必須>NVIDIA GeForce GTX 1060
  • VRAM:6GB以上
  • メモリ:16GB以上
  • ストレージ:40GB以上
https://endfield.gryphline.com/ja-jp/news/3857

開発が進む中で動作環境が変更される可能性も否めないが、より高品質なゲーム制作を目指すHypergryphならば要求より高いスペックを求めてくるはあれど、要求水準を下げてくることはないだろう。

対して、これまで筆者が使用してきたPC環境は次のものであった。

  • システム:Windows 11 64bit
  • CPU:Intel Core i7-11700
  • GPU:NVIDIA GeForce GTX 1650
  • VRAM:4GB
  • メモリ:32GB
  • ストレージ:2TB

端的に言えばグラフィックボード(GPU、以下"グラボ"で表記統一)のスペックが不足している。このPCは2021年にBTOパソコンとして購入したものであるが、当時はPCゲームのプレイを想定しておらず、簡単な動画編集ができれば良いという程度で買い揃えたものであったために、それほど高いスペックのグラボを搭載しなかった。

「必須」と記載されているGTX 1060を上回る性能のグラボを組み込んでいる以上、現在のままでも画質を落として動作させれば問題なくプレイはできるだろう。しかし、ゲーム体験を向上させる目的でPC版に手を付けるには心もとない。そこで、グラボを買い替えることで現在のPCをゲーミング用途に耐えうるマシンへと進化させようと考えた。

購入するグラボの検討

筆者が新調を検討し始めた1月末はちょうど、NVIDIAの「GeForce RTX 4070 Ti SUPER」が販売開始となった時期。どうせ買うならば良いものをと目を輝かせながら、電化製品の聖地である秋葉原で販売されているグラボの値段を確認し始めた。

  • ASUS:179,680~185,380円
  • GIGABYTE:154,800~165,800円
  • MSI:127,380~158,500円
  • 玄人志向:147,800円
  • GAINWARD:149,800円
  • PNY:149,800円
  • ZOTAC:148,000円
https://www.gdm.or.jp/rtx_4070ti_super_sale05

…まあなんというか、安くはない買い物である。投資価値のあるパーツであると頭では理解できるものの、円安である現状で日本円の値段を目にするとやはり高く感じてしまう。最も安いMSIの製品でも、純正源石およそ2230個分、ガチャ回数に換算するとおよそ670連分に相当する。

全オペレーターを完凸しているようなドクターからすれば迷うことなく投資できる金額かもしれないが、10万円を超える買い物には慎重になってしまう筆者としては、コスパの観点から検討を重ねたい買い物である。

判断を迷わせる要因となっているのが、メーカーの研鑽によってグラボの進化が激しいために新たな型番が発売すると急激に値崩れすること、そしてグラボを開発しているのが米企業でありサプライチェーンの一部が日本国外であるために現在の円安影響をモロに受けていることだ。総じて、今よりもコスパ良く同スペックのグラボを手に入れる手段が将来的に見込める。

とはいえ過去には、ビットコインのマイニングにグラボは必須であるという事情から、値段が高騰した時期もある。タイムリーな話題を付け加えるならば、この記事を執筆している間もちょうどNVDIAの決算速報が発表され、半導体売上高でインテルやサムスンを超えて初の世界首位へと躍り出た(2024年2月22日時点)。NVDIAのCEOは”generative AI have hit the tipping point”(生成AIは転換点に達した)とコメントを残し、今後も企業・産業・国を超えて世界中で需要が拡大すると見解を示している。

他にも、値段を左右する要因は多い。だが、専業FXトレーダーでもないのに為替の動きまで購入を左右する理由としてあげ始めるとキリがないし正確な市場予測なぞ素人にはできるはずもないため、一番大きな価格変動要因と考えられる「新製品の発売に伴う値崩れ」さえ加味すればコスパ観点から購入を決めるには及第点ではないだろうか。次の型番となるGeForce 5000番台は2024年~2025年には発売されるという予測もあるため、その発表とエンドフィールドのリリース時期とを天秤にかけながら、購入時期を見計らう手もある。

…とここまで思考して、はたと気づいたのが、最新版のグラボを活かすにはCPUを見直す必要があるということだ。そもそもグラボとCPUにはボトルネック(相性問題)が存在し、片方の性能が低すぎると快適にゲームをプレイすることは叶わない。加えて、グラボはスペックが高くなると電力消費が激しくなり、PC内部の温度も高くなる傾向にある。つまり、電源や冷却ファンも見直す必要が出てくるというわけだ。

そうなるとグラボの買い替えだけではなく、PCごと買い替える必要が出てくる。高スペックなゲーミングPCを一式揃えるとなると最低でも30万円はくだらないだろう。そんな感じで思考がグルグルと回り始めたところで、改めて当初の目的を思い出した。エンドフィールドから得られるゲーム体験を向上させるというのが事の始まりである。

オーディオやカメラよろしく、PC環境についても上を見てしまえば価格は青天井だ。まずはエンドフィールドの推奨要件を満たし、そこから先のスペックは実際にゲームをプレイしながら引き上げていくという選択肢でも悪くはない。最近のグラボは性能が向上するごとに放熱も凄まじいためファンの大型化が進み、ケースの大きさやPC内部の温度を下げるための冷却装置は加味する必要があるものの、基本は付け替えが効くものである。

ということで、まずはエンドフィールドの推奨要件である「NVIDIA GeForce RTX 2060 SUPER以上」という条件に見合うグラボを探すことに。

エンドフィールドの推奨を満たすグラボ

どのグラボを選べば良いのか参考にするため、パソコン専門店であるドスパラが掲載しているスコア表を確認した。

ドスパラ<GPU性能比較表>

  • RTX 2060 SUPER:2249
  • GTX 1650:1059
  • GTX 1660 SUPER:1741
  • RTX 3050:1753
  • RTX 3060:2322
https://www.dospara.co.jp/5shopping/shp_vga_def_parts.html

上記スコア表によると、筆者の所有しているGTX 1650は推奨の半分以下に当たる性能である。ピンポイントに推奨要件を満たすにはRTX 2060 SUPERを入手すれば良いものの、この型番は既に生産が終了している。ヤフオクやメルカリで中古を探せば格安で同製品を入手することもできるだろうが、動作不良のグラボを掴んでしまったという事例が定期的に挙がる以上、ギャンブルに手を出すようなものだ。

2023年の中古市場を見渡すと、ビットコインのイーサリアムにて大量に電力を消費するマイニングができなくなった事情から、マイニング落ちのグラボが大量に出回った。ましてや、CPUやメモリと比較してグラボは壊れやすい部品である。筆者には、酷使されたジャンク品のグラボを修理するような技術も気概も無い。

そこで選択肢として挙がるのが新品のRTX 3060だ。この製品、RTX4000番台の登場に伴って値段が1年間で1万円以上も下落したために3万円台で購入することができ、価格.comで売れ筋3位となっている人気商品である(2024年2月時点)。

<価格.com>
GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC [PCIExp 12GB] の価格推移グラフ

https://kakaku.com/item/K0001334055/pricehistory/

RTX 3060のゲーム性能については、GTX 1650や1660SUPERとの比較動画も投稿されており、4Kなどの高画質を求めない限りは一定の性能を誇るスペックであることが窺えた。

グラボの換装

何を買うか決めてしまえば後は早い。そんなわけで

購入した。

換装した。

認識した。

おそろしく速い換装、オレでなきゃ見逃しちゃうね…と言いたいところだが、グラボの購入を決めるまで1ヶ月以上もかけている上、検討段階で自作PC系の動画を何本も見て時間を費やしているためむしろ、判断が遅い。

製品が届く前にPC内部を清掃していたり、不具合を起こさないようセーフモードでDisplay Driver Uninstallerを起動して復元ポイントを確保しながら既存ドライバをアンインストールしたり、新ドライバを事前ダウンロードしておいたりと色々と準備もしていた。

部品で手を切りバックパネルを血でベトベトにしたり、CPUクーラーがしっかり取り付けられておらずPCが起動しなかったり、増設したメモリが浮いていて認識されなかったりと、過去には不器用さを存分に発揮したことのある筆者であるが、今回の交換作業自体は珍しくスムーズに終わる。

グラボ換装前後のベンチマーク

せっかくグラボを新調したのであれば、どれだけ性能が向上したのかも確認したいところ。ということで、グラボのベンチマークソフトとしては定番の「3DMark」と「FINAL FANTASY XV Benchmark」にてテストを実施した。

↑が換装前、↓が換装後

換装前後で比較して、どちらのベンチマークでも倍以上のスコアを出しているため、性能の向上を数値面でも確認することができた。

おわりに

色々と書いてきたがエンドフィールドのリリース日が確定していない現状、急いでPC環境を整える必要は特にない。PCパーツは進化のスピードが激しいため、正式な推奨動作環境が明かされてからそのときに最適な価格で必要な部品を揃えるので十分間に合うだろう。

ただ、新しいPCパーツを手に入れてテンションが上がった勢いで書いた記事である。アークナイツのアヴドーチャ(パゼオンカ)も「一番初めの衝動に誠実でいてください。」とメッセージを残しているので、それに従ったまでだ。

あとはエンドフィールド配信への期待で胸を膨らませながら、今まで通りテラの世界で巻き起こる事件へと没頭したい。

参考リンク

エンドフィールドのスタンプ

NVIDIAのCEOコメントソース
https://asia.nikkei.com/Business/Tech/Semiconductors/Nvidia-revenue-more-than-triples-as-AI-hits-tipping-point

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