【アークナイツ】ベナのモチーフ考察
オペレーター名
ベナ(CN:贝娜/EN:Bena)
【種族】キャプリニー
【出身】ヴィクトリア
【精通】荷物保存、人形制作、衣装制作、園芸
公式オペレーター紹介
特殊オペレーターのベナは、人形を操る独自の技術を持ち、戦場で特別な戦略的価値を発揮できる。年齢と本人の希望を考慮し、特別な状況下でのみ配備される。
https://twitter.com/ArknightsEN/status/1467720459617714181?s=20
ヴィクトリアの童話の守護者、稀物の預かり人、そして “良い子"の味方であるベナ。これらは、ベナがアイリスに倣って自らの称号に付けた接頭語である。
幼いながらも、ベナは既に童話の守護者としての経験を積んでおり、子供たちの所蔵品の受け取りに長けているだけでなく、保管することにも精通している。
彼女の親友——人形アニーの助けを借りて、ベナは子どもたちの大切な宝物を、大人になった彼・彼女らへ再び返す約束の日が来るまで、ずっと守っている。
https://weibo.com/6279793937/KgNp5tWEy
「こう書けば…良いの…?」
「うん…悪くないわね、素晴らしいわアニー!じゃあ、そうしましょう。」
種族
キャプリニ(CN:卡普里尼/EN:Caprinae)
JP版「キャプリニ」に該当する単語はヤギ族の学名「Caprini」、EN版「Caprinae」はヤギ亜科を意味しており、いずれも生物分類の用語。支持する説によって分類法上の定義はやや異なるものの、ヤギ族もヤギ亜科もヤギや羊に類する動物を括っている単語であることに変わりはない。
モチーフ
渦巻き状のアモン角やモコモコとしたスカートから、ベナのモチーフが羊であることは想像に難く無い。彼女の攻撃モーションには羊毛がゆっくりと落ちる特殊効果があり、巨大な鋏で羊毛を刈り取るような演出が為されている。
現代は羊毛の剪定は電気バリカンが主流ではあるが、頭数が少ない場合等、今でも剪毛鋏が重宝されている場面がある。
手に持つ渦巻状の定規は羊毛の長さを測定する為の道具か。ヴィクトリアのモデルとなっているイギリスでは、産業革命時代に羊毛の織物産業が栄えていた為か、衣装や人形制作に精通するといった側面がベナの大陸版オペレーター紹介にて明かされた。
モチーフを考察する上で無視することができないのが、ベナの似姿を持つ人形アニーと、背後に描かれた羊の頭蓋骨だ。
ベナは他のいかなるオペレーターとも異なり、ベナとアニーが交互に入れ替わって戦闘配置につくという特殊性を持っている。
交互に入れ替わる人形アニーはベナの”代役”とも言え、そこに”イギリスの羊”という要素を加えると、倫理的観点から賛否両論を呼んだ1つの史実が浮かび上がる。
クローン羊”ドリー(Dolly)”は、スコットランドのロスリン研究所で生まれた、世界初の哺乳類体細胞クローンである雌羊であり、その存在はクローン技術がSF世界ではなく現実のものであるという生きた証となった。
人形(Doll)、ドリー(Dolly)と綴りが似ていることは意図してのものか。
クローン羊のドリー
元々、ロスリン研究所では、実験に使用する動物の数を減らすために、遺伝子組み換え動物の効率的な生産方法を開発しようと試みていた。一連の実験で、ロスリン研究所の科学者たちは発生過程で細胞がどのように変化するか、また、皮膚や脳の細胞などを使って全く新たな動物を生み出すことができるのか学ぶことに熱心だった。
イギリスの発生学者イアン・ウィルムット率いる研究チームには、科学者の他、外科医、獣医、農場スタッフと様々な分野の人間が集い、1996年7月5日にドリーは誕生した。フィン・ドーセット種の乳腺から採取した細胞と、スコティッシュ・ブラックフェース(Scottish Blackface、英国で有名な黒い顔の羊)の卵細胞からクローンとして生まれたドリーの顔は白く、これこそが”黒い顔”の母親(卵細胞)とは遺伝的な繋がりが無いことを示す証であった。
よく勘違いされることだが、羊のドリーは世界初の哺乳類ではない。1984年にはイギリスのケンブリッジにて胚細胞からクローンの羊が生み出されおり、1995年にはロスリン研究所から培養されたES細胞から数頭の羊が生まれていた。
ドリーが特殊なのは、世界で初めて”成体の羊の体細胞核”を用いて作られた存在だからである。ドリーの誕生は、特殊な細胞を使って元の動物の正確なコピーを作る証明となり、生物学や医学の分野で多くの可能性を切り開いた。
1997年2月22日、ドリーは世界に向けて発表され、多くのメディアが注目した。ロスリン研究所のチームはこの発表に合わせて実験の科学論文を発表したが、このお披露目はクローン技術の利点と危険性について、想定以上の議論を生むこととなる。
発表後1週間で、ロスリン研究所には世界中から3,000件もの電話が鳴り響き続けた。
また、ドリーが1歳のとき、DNAを分析をした結果、テロメアが同種の羊よりも短いことが判明した。テロメアとは染色体の末端部にある構造のことで、DNAを損傷から守る役割を果たしている。動物や人間が年を取るにつれて、テロメアは徐々に短くなり、DNAはより多くのダメージを受けることになる。
ドリーのテロメアが短かったのは、ドリーのDNAが大人の羊に由来するもので、発育の仮定でテロメアが十分に発達しなかったからだと考えられている。端的に言えば、実際の年齢よりも「老けている」ということだ。しかし、当時のドリーの健康診断では早産や老化に関係するような疾患は発見されなかった。
ドリーはロスリン研究所で生涯を過ごし、時折メディア上に露出する以外は研究所の他の羊たちと同じ普通の生活を送り、合計6頭の子供を産んだ。2000年9月に最後の子羊を出産した後、ドリーはJSRV(Jaagsiekte sheep retrovirus)という羊の肺がんを引き起こすウイルスに感染していることが判明した。ロスリン研究所の他の羊たちも同様にJSRVに感染していた。
2001年、ドリーの歩き方がぎこちないことに気づいた農場スタッフが、関節炎と診断した。関節炎の原因は解明されなかったが、抗炎症剤の投与で治療に成功。
その後、ドリーは2003年2月までは通常の生活を送っていたが、CTスキャンの結果、肺に腫瘍ができていることが判明。ドリーを苦しめるよりも安楽死させた方が良いと判断したスタッフによって、2003年2月14日、ドリーは6歳の若さでこの世を去ることになった。
ドリーの死は、再び世界各国から注目を集めた。生物の死は古今東西、あらゆる人の心に大きな影響を及ぼすものである。
さて、話をベナに戻すが、彼女の昇進2イラストには羊の頭蓋骨が描かれている。死の概念をイラストに取り入れることで、永遠の6歳であり続けるドリーに、追悼を意を示していると考えるのもまた一興なのかもしれない。
参考リンク
明日方舟:“贝娜”原型和元素考据,绵羊、人偶与双生体
https://www.163.com/dy/article/GB5QV8UA05469EAT.html
参考資料
https://dolly.roslin.ed.ac.uk/facts/the-life-of-dolly/index.html