【アークナイツ考察】燭騎士ヴィヴィアナ・ドロステについて

5月 23, 2022

燭騎士ヴィヴィアナ・ドロステは、リターニア出身の女性騎士。角の形状からエラフィアであると推定される。ニアーライトの騎士競技にて、耀騎士と一戦を交えた。大陸版表記は烛骑士(薇薇安娜·德罗斯特)、EN版表記はCandle Knight(Viviana Droste)。

右手に長剣、左手に蝋燭という独特なスタイルを持つノヴァ騎士団の看板騎士であり、几帳面かつロマンティックというリターニアの国柄を体現するような佇まいは、多くの競技騎士ファンたちを魅了する。資本に屈する競技騎士たちとは異なり、騎士としての慎みと正義感とを持ち合わせた彼女の存在は、耀騎士ニアールの競技騎士に対する認識を改めさせることとなった。

生い立ち

ヴィヴィアナ・ドロステ。これがあなたの名前。

あなたの存在は、一族の恥……ほかの貴族に知られれば、あなたの父上を攻撃するいい口実になってしまう。

あなたは秘密裏に追放されるか、いっそのこと処刑されるべきだ。この高塔に赤子の泣き声など響かない方が良かったのだ。

だが――あなたは、カジミエーシュに連れてこられて、とある征戦騎士に育てられた。

ここにはあなたの身分を、その秘匿されるべき真実を、隠す人などいないのだ。

それはまるで、彼らがあなたに伸び伸びと生きてほしいと願っているかのようにすら感じさせる。

なんと尊く哀れなことだろうか。……高貴な父も、卑しい身分の母も――彼らは二人とも、あなたを愛しているのだ。

ニアーライト NL-4 戦闘後 詩の容貌

ヴィヴィアナは、大貴族の私生児としてリターニアに生まれた。行動一つ一つがつぶさに観察される貴族にとって隠し子の存在は、権力失墜のネタを狙う政敵からの格好の的である。

地上の喧騒から遠ざけられるように高い塔へ閉じ込められた幼き少女は、母親からもらった蝋燭を頼りに読書の日々を送った。孤独な彼女の心に灯火をともしたのは、とある騎士の物語だった。

やがてカジミエーシュへと渡った彼女は征戦騎士イオレッタ・ラッセルの養女となり、競技騎士へと身を転じていく。

カタパルトの回想秘録

立ち絵こそ無いものの、カタパルトの回想秘録にもヴィヴィアナは登場している。カジミエーシュ貴族の金庫を爆破し奪った金銀財宝をばらまき、結果として重税に苦しむ住民たちを救う行動を取ったアリータ(カタパルト)をヴィヴィアナは注意深く観察しており、慎重さに欠けると評しながらもその心意気を買った。あわや見つかりそうになっていたアリータを庇う形で、ヴィヴィアナは燭騎士としての知名度を活かしながら追手からの目を逸らしている。

後日、その地には大都市からの調査団が入り、新たな領主が着任したことで重税は撤廃され、街は発展、アリータの指名手配は取り下げられることとなった。

燭騎士としての活躍

直接は登場していないものの、マリア・ニアールでのヴィヴィアナの活躍は記事の中から見出すことができる。

最新期待度トップ5 見どころのおさらい
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(中略)

TOP1
燭騎士 VS 渓流騎士
コメント:選抜戦では前代未聞の、超実力者同士の対決!特別参加枠だった燭騎士が戦場に降り話題を巻き起こしましたが、それは一体何故なのか!リターニア式のアーツと伝統騎士道のぶつかり合い!試合の録画テープは早くも完売!絶対見逃せない対決です!

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リターニアより来たりしアーツの奇才! 登場するや否やメジャーの競技規則変更を余儀なくさせた人物。そしてトリュフグローブ城の女主人であり、セレブたちに豪華に対する認識を改めさせた当人である。彼女こそ指先一つ、微笑み一つで無数の競技ファンを魅了した燭騎士――ヴィヴィアナ・ドロステ! メジャーシーズンもちょうど折り返し地点、ここでぜひ筆者と共に燭騎士の今季の素晴らしいパフォーマンスを振り返り、息も止まるような美しく至高の瞬間を切り取っていきましょう!

予選の対渓流騎士戦において、燭騎士は我々に彼女のリターニア伝統的なアーツに対する造詣の深さを示し、燭火で瞬く間に相手の刃を鉄の水へと熔かした。メジャー初戦では戦鼓騎士と相対し、序盤は猛攻を前に体力を温存する戦術をとり、後半から彼女の代名詞とも言えるアーツで容赦のない反撃に転じるという、騎士競技の戦い方への理解の深さを見せてくれた。バラエティー競技では、観衆に極上の視覚の宴をもたらし、会場がそのまま彼女のひとり舞台に! この試合を生観戦した観客の一人からは「記録ビデオを十本も購入しました! この素晴らしい時間は一生忘れられない……家族や友人とも分かち合おうと思います!」との熱い感想を頂いた。

ニアーライト BREAKING NEWS THE RED WINE

ヴィヴィアナは、騎士競技に初参加した際「微光騎士」の称号を得た。その三年後、メジャー初参戦時では血騎士に敗れたものの三位受賞を果たし、大騎士※となった彼女は新たに「燭騎士」という称号を獲得する。※大騎士には、簡潔かつ本人の特徴を踏まえた”一文字”の称号が与えられる。

並み居る競技騎士たちの中でも燭騎士の活躍は注目の的になっており、赤松林でゾフィアが語ったところによると、わずか1ヶ月の間にメジャー参加に必要なポイントを溜めきったという。

燭騎士がカジミエーシュにもたらす経済効果は凄まじく、要塞一つ作れるほど。過去に連覇を果たしてきたリターニア出身の黒騎士に擬えて「第二の黒騎士」と表する声もあるが、大きな武器を振るう黒騎士とは対象的に、”典型的な”リターニア人らしく高度なアーツによって退治した相手を翻弄する戦闘スタイルを採用している。

代弁者マッキーとの訣別

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かつては騎士協会がわざわざそのために試合の規則改定を行うほどだった彼女も、今や騎士団の内部調査を受けるこの零落ぶり。無数の競技愛好者を一目惚れさせたというのも今や昔、各方面からバッシングが一向に止まない。ヴィヴィアナ・ドロステ、いったいどれほどの不義があって、一時は時代の煌めきであった燭騎士が今の境地に至ったのだろうか?

本誌の情報によれば、燭騎士の私生活にかかる出費は桁違いであり、以前から大衆に知られているワイン風呂やイケメン従者の他に、彼女には詩という嗜みもあるそうだ。しかし残念なことに、このように雅な趣味であっても、燭騎士の手にかかれば俗世の塵まみれになってしまう。情報によると、燭騎士がコレクションしているのはカジミエーシュトップレベルの詩人の直筆サイン入りの限定本で、その購入資格を獲得するためだけでも一般人の一年分の収入を要すほどだ。その上で実際に手に入れるにはさらに一般人の年収二、三年分では効かない資金がいるとのこと。このようなあまりにも高価すぎる限定本、燭騎士の本棚には隙間なく詰め込まれているという。騎士の収入と釣り合わないこのような財力はうらやましいと思わせる一方で、いったいどこからこれほどの巨財を調達しているのかという好奇心も抱かずにはいられないだ ろう。

ところが、真相はいつも見るに堪えないものである。ノヴァ騎士団が公開した財務諸表を見るに、毎月の収支の中でかなりの額が使途不明であることは明白! これほどの金銭は、いったいどこに流れ込んだのだろうか? 豪華な品々を身につけたあの気高い燭騎士の以前の姿を思い起こせば、その答えも自然と浮かび上がるだろう。内部情報によると、不正会計の関係者はすでにノヴァ騎士団から除名されたそうだ。果たして燭騎士にはどのような結末が待っているのか、判明次第また諸君にお届けしよう。

マリア・ニアール ROSEBUDNEWS THE RED WINE

商業連合会の息がかかったTHE RED WINEによる根の葉もない記事であるものの、このゴシップに関しては他の記事とは趣が異なる。

THE RED WINEは商業連合会に名を連ねるローズ新聞連合社の管轄するメディア紙であり、その新聞社の代表取締役息子である代弁者マッキーのさじ加減で情報操作が可能であった。

商業連合会で代弁者を務めるマッキーは燭騎士のファンの一人であり、競技騎士たちを”商品”として扱う立場にありながら、燭騎士に対しては私情の入った発言が多く見られる。

代弁者マッキー:
……あなたはとても寛大な方だ。だからこそ、私はやりきれない気持ちになることがあります。
(中略)
あなたのような清廉潔白な騎士こそが、ほかの人々の手本とされるべきだというのに! 本来、あなたの名声はより高くあらねばなりませんし、その上――

ニアーライト NL-1 戦闘前 カレンデュラ

代弁者マッキーによると、ヴィヴィアナは得た収入のほとんどをリターニアにおける貧困地域への寄付に回しており、そんな彼女が贅沢の限りを尽くすなど真逆もいいところである。

この記事はとあるゴシップ紙の編集者が独断で掲載したもので、反響の大きさからローズ新聞本社ですら取り下げることが叶わなくなった。この記事を仕掛けた黒幕は明かされていないが、内部告発であることや下記のフレーバーテキストから、権力闘争の激しいリターニア勢力による仕掛けであると推察される。

ノヴァ騎士団の見習い騎士。この美しい名前を冠する騎士団は燭騎士を看板としていて、アーツに長け、気品のある騎士たちを募集している。燭騎士を祭り上げ彼女に倣うことに対して不満を抱く団員もいるが、彼女がもたらす人気と富は人を惹きつけるものである。

敵図鑑 ノヴァ見習い騎士

ノヴァ騎士団の正規騎士。この美しい名前を関する騎士団は燭騎士を看板としていて、アーツに長け、気品のある騎士たちを募集している。騎士団の精鋭たちのアーツコントロールはさらに優れており、燭騎士の地位を虎視眈々と狙っている者もいる

敵図鑑 ノヴァ精鋭騎士

もっとも、燭騎士本人は一連の騒動を気にした様子でなく、ワイン風呂などべたべたするだけではと、茶化すようでありながら至極真っ当なツッコミを入れている。彼女にとってはゴシップに惑わされるような有象無象からの評価よりも、本質的な価値を見抜ける少数の人間との交流や読書に割く時間の方が重要であるのかもしれない。

元々、大騎士長ラッセルの養女としての一面を持つ彼女は、どちらかというと商業連合会よりも監査会側の人間であり、「夜空に浮かぶ星々は一層輝くことでしょう。」とマーガレットに忠告を送っていることや、レッドパイン騎士団を手に掛けようとしたロイを妨害していることからも、監査会の息のかかった大停電の計画は事前に把握していたと考えられる。

商業連合会側の人間である代弁者マッキーとは、いずれどこかで袂を分かつことになることは必然と言えただろうが、その決定的瞬間は耀騎士との正面対決すら許されないことへの憤りだった。

「失望しました」と口にするヴィヴィアナに対して謝罪するマッキーの姿は、代弁者という立場以上に、どこか遠い存在である燭騎士に憧憬の念を持つ一人として描かれる。

……詩のような……か。
確かに、そうなのかもしれない。だが……あなたが読んでいるその詩を、真に理解できたことなど、私にはないんだ、ヴィヴィアナ。

ニアーライト NL-3 戦闘後 それぞれの準備

寂しげにそう呟いた代弁者マッキーは、用意したカレンデュラのブーケをヴィヴィアナに贈ることができず、行き場を失った花束は結婚記念日を控えた部下へのプレゼントに転用された。

太陽と月、塔、カレンデュラの意味

(リターニア語)あなたの信念が本当に、太陽のごとく揺るぎないものであるならば……私のような、微かな蝋燭の灯火が――少しの間、あなたの光を奪おうとすることをどうかお許しください。

ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌

耀騎士ニアールを太陽とするならば、燭騎士ヴィヴィアナは月としての隠喩が込められていると言えようか。

燭騎士ヴィヴィアナ・ドロステ。言語では彼女の素晴らしさは表現できず、ただ、彼女の光を映す瞳に酔いしれるだけである。今宵、カレンデュラは彼女のために咲き誇る。

敵図鑑「燭騎士」ヴィヴィアナ

ヴィヴィアナの存在を装飾するように添えられたカレンデュラの花は、ラテン語で「月の最初の日」を意味するKalendaeに由来し、元々はローマ人が新しい月の満ち欠けの始まりを指す言葉として使用していた。

ヴィヴィアナが好むリターニア詩集のタイトルにも『双とカレンデュラ』と、”月”という単語が含まれている。

夜に地上を照らす月は恒星のように自ら光を発する訳ではなく、太陽からの光を受けることでその燐光のような輝きを放つ。ヴィヴィアナが口にした「光を奪う」という表現はそのアーツの特徴を指す言葉ながら、騎士としてのあり方に疑問を覚える彼女の迷いが表れているようにも捉えられる。煌々たる太陽が大地を照らすようなマーガレットに対して、自らは照らされる側の存在であるとヴィヴィアナは謙虚に、或いは卑下する。

マリアやソーナのように真っ直ぐな心を持つ他の競技騎士の例に漏れず、ヴィヴィアナもまたカジミエーシュにおける騎士としての在り方に疑問を覚えていた。

ずっと昔から、考えていたことがある。

私たちカジミエーシュ人は何に苦しんでいるの?

ウルサスの痩せ細った土地に生きる農民や、ボリバルの戦火を日々掻い潜っている難民、そしてサルゴンの無尽の砂漠を往く行商人に比べて……

私たちの人生はひどいもの?いいえ、違う。でもそれは私が騎士だから。

――ウルサスにも、優雅な暮らしの王公貴族がいる。ボリバルにも大儲けをする死の商人がいる。そしてサルゴンの黄金の都市では豊かな暮らしができるはず。

どんな国にだって上と下がある。なら、カジミエーシュの苦しみを抱えている人々はどこにいるの? この国の――カジミエーシュの「騎士」として、そうした隠れた悲劇にどう向き合えばいいの?

……いいえ。問いかけるべきは、そうではなく……

私は本当に、カジミエーシュの騎士でいるべきなのか?

あるいはリターニアにとどまって、花が咲き、アコーディオンの音色が響く中で、詩を書いているべきなのか?

ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌

腐敗しきったカジミエーシュにおける騎士という立場、そしてメジャー優勝を果たした直後にその地を追われながら「騎士とは、大地を照らす崇高なる存在だ」という確固たる信念を持ち続けるマーガレットに対して、その疑念は自然とヴィヴィアナの口をついて出る。

大地を照らす、と。

誰もがそんな力を持てるわけではありません。大抵の人は、小さな蝋燭の火で、なんとか自分の生きる方向を照らしているにすぎないのです。

少しの雨風で容易く消えてしまうほど小さな燭火。この現代においては、照らせる範囲は限られているがゆえに、人々は己を見失っていますが、何より恐ろしいのは、彼らにその自覚がないこと。

それを理解していながら、あなたはどうして――

ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌

自らの称号に擬えて小さな燭火と表現するヴィヴィアナに対し、マーガレットは

「その言葉は、自分自身への問いかけか? ヴィヴィアナ。」

と称号ではなく名前で呼んだ。

名前は、一定範囲の意味を持つ言葉によって定義され、縛れられる。「燭」とはかつて使用された光度の単位であり、その尺度は「蝋燭1本分」を意味する。名誉ある一文字騎士でありながら、「燭」が示す輝きの限界に縛られたヴィヴィアナに対して、「燭騎士」とは単なる称号に過ぎないからと敢えて名前で呼んだマーガレットは、ヴィヴィアナが生まれによって運命を定められることの無い存在だと強調する。

私はもう、麻痺してしまったのかもしれない。

――リターニアを去った自分は、もうあの高塔を下りたものと思っていた。けれども、私はようやく気付いたのだ。塔はまだ在る。それはずっと、そこに存在している。

すべての苦しみの上にそびえ立つ、塔が。

ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌

ヴィヴィアナが口にする”塔”は、リターニアにもカジミエーシュにも存在する。

都市は、際限なく人を喰らい、飲みこみ、一つのところに押し込める。人々を飲み込んだ都市は個々人を緩慢に消化し、やがて赤い血肉と白い骨が露になる。文明の繁栄の果てに築き上げられた”塔”もまた都市機構の一つとして、人々を縛り、前進するための糧とするのだ。

文字というのは想像と切り離すことができず、その全ては想像を表現するための単なる符号に過ぎないという考え持つ彼女は、幼少期における自身の経験から”塔”という単語を自らを縛る、逃れることのできない不条理な運命そのものを表現する言葉として使っているのかもしれない。

そんな”塔”に対して抗い火を放つのではないとマーガレットが口にしたことで、ヴィヴィアナは混乱する。抽象論の掛け合いにその答えはなく、これからカジミエーシュにおける騎士として輝くであろうマーガレットの今後の在り方に解は見出される。

やがてヴィヴィアナは武器である蝋燭が火を灯す蝋ごと切り落とされたことで敗北を宣言する。蝋燭の火が消えながらも、蝋の断面は輝きを失うことなく光を発し続けたという表現は、ヴィヴィアナがマーガレットによって光を受けた一人となったことを暗喩するのかもしれない。

その後ヴィヴィアナは、ソーナを助けラッセルの元まで導いたことでレッドパイン騎士団を存続させるきっかけを作った他、耀騎士と血騎士の命を奪ってでも最後の行進を止めようとする代弁者マッキーの前に立ち塞がることで、大騎士領における歴史的分岐点を陰から支える一人となった。

名前"ドロステ"の由来について

蝋燭の明かりを頼りに、私は読書をしました。詩歌、小説、諸国の散文……それらは、素晴らしく魅力的で、惹きつけられるものでした。

ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌

ドイツにはアネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ(Annette von Droste-Hülshoff)という名の、ヒュルスホフ城で生まれた貴族出身の女性詩人がいる。アネッテの家柄は古くから続く高貴な氏族の一つであり、彼女の祖先はミュンスター司教領の騎士であったという。

アネッテの母親は、13歳の頃からセントボニファティウスの修道院にて高い水準の教育を受けており、学ぶことに重要性を理解してか、多言語で執筆された文学作品や歴史、地理、自然史…と、当時の少女には珍しいほどの高度な教育を、好奇心旺盛な娘アネッテに対して施した。

ドイツ語、英語、フランス語…その他多くの西洋言語で書かれた文学作品を幼き頃から愛読していたアテッネは、自らも詩作を試みていた。職業的な作家ではなく興に任せて筆を取るというスタイルであるため、未完で終わっている作品も多いが、散文作品として完成している小説「ユダヤ人のぶなの木」は冷徹な筆致で描かれた、人生への深遠な観想を秘めた傑作とも評される。

アネッテは機知に富み、ユーモラスな会話を展開できる性格であったものの、健康上の理由から閉じられた環境下で制限された生活を送ることを余儀なくされた。

これらのエピソードは、高塔に幽閉されながらも、母から蝋燭をもらって詩歌、小説、諸国の散文を読んだというヴィヴィアナの経験と類似点を見出すことができるだろうか。

また、「droste」という名前は古くから存在し、文献で10世紀頃まで遡ることができる。druhti「群衆」(主に従者を意味する)、truhtまたはdruht「忠誠を誓う」、säze「座る」から成り、総じて「従者を取り仕切る者」の意味を持つという説がある。

drosteと語源を同じくするTruchseßは、宮廷における食卓の整備を担当していた役職。伝統的な欧州の食事風景には、燭台を配した食卓が描かれることが多いが、騎士という名前は、この役職に由来しているのかもしれない。

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