【アークナイツ】ミヅキのモチーフ考察、正体

1月 28, 2022

基本情報

ミヅキ(CN:水月/EN:Mizuki)

【種族】エーギル

【出身】極東

【精通】グルメレビュー、ゲーム(レトロ)

公式オペレーター紹介

ボリバルの都市ドッソレスでオペレーターと接触したミヅキは、彼らに同行してロドスへ乗艦した。オペレーターとしての事前面接と検査の結果、一時滞在が許可された。

https://twitter.com/ArknightsEN/status/1481128809093025793

…従って、対象者は船内滞在中、医療部門の特別な条件に従わなければなりません。活動範囲を限定し、付録に記載されているエーギル出身の一部オペレーターとの接触を禁止します。以上。

え?何か問題があるのですか、ドクター?

彼のためにアルバイトを手配して、極東から来た普通のエーギルの少年として、居住区の大部分を動き回れるようにすると?人道的配慮に満ちたアイデアですね。

いえ、私はただの記録係で、最近この船に駐在している人たちについて報告するのが仕事です。しかし、議論の余地はありますし、ケルシー先生からは、この件に関して、スタッフ配置の観点から選択肢を提示する権限があると事前に指示を受けています。

ご希望とあらば、医療部の責任者と対処法について話し合う場を設けますが。

https://weibo.com/6279793937/KqZPgDLx6

モチーフ

水母、海月、蚱…水月。「クラゲ」を指し示す表現は複数存在するが、大陸版の表記は水面に映る月を比喩したような漢字を使用している。

ミヅキの被る帽子、手にする傘にはクローバーを思わせる4つの楕円が描かれ、ひと目見てクラゲと分かるような意匠が凝らされている。四つ葉のような模様のを持つ有名なクラゲは「ミズクラゲ(ヨツメクラゲ)」。

ミズクラゲの食事のバリエーションは広く、軟体動物、甲殻類、ホヤの幼生、ワムシ、多毛類の幼生、原生動物、珪藻、卵、魚卵、プランクトンを捕食する。時には、ヒドロ虫やクモヒトデなどのゼラチン質動物プランクトンを捕食することも。

餌は刺胞を持つ触手で捕らえ、粘液で縛って胃管腔まで運び、繊毛運動で腔内に通す。そこで、漿液細胞からの消化酵素が餌を分解する。

ミズクラゲが特殊な消化器官を持つように、ミヅキの消化器系の特殊性についても、ドッソレスホリデーの特設ページにおいて彼自らが言及した。

僕の消化系統は食べ物を栄養に変換する効率が高いんだ。たとえ希少な食材だったとしても、彼らの希少さの理由はその独特な味にあって、分解しにくいわけではないからね。

https://2ndanniv.arknights.jp/dossolesholiday(ミヅキ インタビュー)

パックマン

社員証に描かれたモンスターズ

ミヅキの精通に「レトロゲーム」とあるが、とりわけパックマンを気に入っていることがセリフやイベント「ドッソレスホリデー」から分かる。

これ?極東で流行ってたレトロゲームだよ、今はもうあんまり人気ないけどね。ドクターもやってみる?あの黄色い顔を、周りのものを食べるように操作するんだ。でもたくさん栄養を摂ってパワーアップするまでは、他の敵から獲物として狙われちゃうんだ。

会話3

D.D.D. ご紹介しましょう――『パッカーマン』!

DH-2「第一ラウンド」

エウレカ 彼のパックマンチームは私たちにどのような驚きをもたらしてくれるのでしょうか?

アークナイツ2周年特設サイト

1980年代に世界中で空前のブームを巻き起こした日本製ゲーム「パックマン(PAC-MAN)」が、1980年に登場してから、2020年で40周年を迎えました。パックマンは、ゲーム史上初のオリジナルマスコットキャラクターとして登場し、そのアーケードゲーム機が「最も成功した業務用ゲーム機」としてギネス記録に認定されるなど、大ヒットを記録しました。今回、この歴史に残るゲームキャラクターの登場から40周年を祝う記念コインが発行されました。

泰星コイン株式会社@Press<https://www.atpress.ne.jp/news/239994>

パックマンは、1980年にナムコがリリースしたアーケードゲームで、4匹のゴーストに追われながらルートに置かれたドットを食べ尽くすことでゲームクリアとなる。4匹のゴーストに触れるとパックマンのライフを失うが、迷路に置かれたパワーエサを食べることで、ゴーストを食すことができる。

ミヅキが大食いであること、そして彼の回想秘録にはパックマンがゴーストを食べることを想起させるような場面があり、浅からぬ関係性が見え隠れする。

Y1K

ネオン色の雨の夜、名もなきテクノを味わう。 轟音と騒音は揃い、試飲も可能だ。 「Y1K」、水滴の中に浮かぶ、食い違った金属色の世界。

《明日方舟》EP – Y1K

Y1Kとは、西暦2000年を迎える際に発生するとされたコンピュータの誤作動問題、Y2K(2000年問題)に因んだものか。

当時、多くのコンピュータシステムでは日付の表記に西暦の下二桁のみを表示しており、2000年になると「00年」…つまり、「1900年」と見做してしまい、レコードを日付順に並べる処理を行うと順序が狂うような誤作動を起こす可能性が指摘されていた。

2000年問題の深刻さについては多くの議論があったこと、発生時期が明確に分かっていたことから各企業が対策を進め、結果として大規模な混乱には繋がらなかった。総じて、Y2K問題の肝は2000年になる直前に跋扈した集団的な不安感にあるとも言える。

Y1Kを日本語訳するなれば「1000年問題」か。コンピュータが存在しなかった過去とて、1000年前後は歴史上非常に混乱した時期であった。

おおよそ5世紀から10世紀、中世前期は西ローマ帝国の衰退位に始まり、ヨーロッパ史において文芸作品や文化的創造物が少ないことに起因して「暗黒時代」とされる時代であり、とりわけ850年以降の北部はヴァイキングの侵攻により政治、経済、社会の秩序の多くが崩壊した。

もっとも、歴史を知る我々からしてみれば、その後のヨーロッパは新たな政治基盤を生み出し、新たな社会・経済様式が人口増加を招き、世界を制覇するヨーロッパ文明が築かれたことは常識として刻まれているが、当時を生きる人々にはそれを知る由もないだろう。

以上を踏まえると、ミヅキの存在はロドスにとって憂慮すべきものであり、心配の種となっていることを示すものか。彼は様々な事情から、正規のオペレーターになることにハードルが存在する。

宇宙からの色

単なる宇宙からの色にすぎなかったのだ ―― わたしたちの知る自然を超越する、まだ形成されていない無限の領域からの使者、わたしたちの怯えた目の前に暗黒の超宇宙の深淵を開けて、脳に強烈な衝撃をあたえて麻痺させる、そんな領域からの使者だったのだ。

東京創元社『ラヴクラフト全集4』大滝啓裕訳「宇宙からの色」

多くのエーギル、とりわけアビサルに関わるオペレーターはクトゥルフ神話に関わる要素を多分に含んでいる。

クトゥルフ神話の生みの親ラブクラフトが1927年に執筆した『宇宙からの色』は、宇宙から飛来した隕石に端を発した、異端な出来事の数々を記した小説。隕石が落ちた地点ではあらゆる植物が奇妙な色彩を放ち、そこに住まう昆虫・動物・人間はそれぞれ異常な変化を見せ始める。

他のクトゥルフ作品とは異なり、冒涜的な見た目をした生物が登場するわけではなく、ただひたすらに未知のスペクトル、特異な光・色彩、奇妙な帯、…と色や光にのみ言及し、人間に感知できない存在をテーマに宇宙的恐怖を描いた作品。

ミヅキの昇進2イラストや、EP動画に描かれた立ち絵にはノイズの走ったようなドット表現と、不気味なネオン色が彼の周囲に漂い、神秘的ながらどこが剣呑な雰囲気を醸し出している。

明確に「宇宙からの色」を指し示すような表現はなされていないが、奇妙な点がプロファイルに記載されている。

実を言うと、我々も先日、彼に料理の腕を披露してくれるよう頼んだ。その結果、なんというか……確かに本人が言った通り、食材の鮮度も生命力も完全に保たれていて、生臭さを取り除く作業や調味料の染み込みも問題なかった。だが最後の完成品は静止しているにも関わらず、見ているとどうにも食材が残存する生命力で蠢いているような錯覚に襲われて、どうしても手を伸ばすことができないというか……ところが、その場にいた勇気ある者が味見したら、非常に美味しいということ以外何も特別なところはなかったらしい。

ミヅキ「第二資料」

「宇宙からの色」で描かれた未知の存在は生物の命を唐突に奪うことはせず、生命力を刺激しながら徐々にその機能を独自のものへと成熟させる。ミヅキの能力についても同様に、自身に由来する”命”を対象の食材に吹き込み、その生命力を食品に留めるような能力を発揮しているのではないかという推測が第ニ資料で綴られている。

ミヅキの台詞の中でとりわけ異様な発言は次のものだ。

たまに思うけど、呑み込んだ食べ物と吸収した栄養が僕たちを造り上げたんなら、もし同じものを食べて、同じことをしてたら、どんどん同じになっていくのかなって。ドクター、僕たちに……できるかな?

ミヅキ「信頼度上昇後会話3」

同じになる…均質化。「宇宙からの色」では隕石が放つ輝きから周囲の環境が同質的な存在へと感染していったように、別の種族を取り込みながら冒涜的な存在を増やしていく表現はクトゥルフ作品の十八番でもある。

ミヅキの正体

ミヅキの一人称は「僕」だが、時折彼が口にする言葉はまるで集合的な人格を思わせる。

その異様さを紐解く鍵が彼の昇進資料で明かされている。

実を言えば、対象の能力測定の結果では、ほぼすべての項目が「優秀」の基準を満たしているか、超えている。唯一の例外がアーツ適性だ。おそらく君も気づいているだろう。そう、彼が多くを見せない作戦の補助手段や、視覚・聴覚・触覚への干渉、そして幻覚を生み出す手段は、アーツによるものではない。より生物的なものなのだ。我々の現段階の推測では、ある種の電気信号またはフェロモンではないかと考えている。また、対象のパワーや身体能力などの項目におけるパフォーマンスは、相当の訓練を受けた専門オペレーターのそれと比べてもおそらく遜色ないだろう。しかもこれは彼自身の身体能力のみで至る範囲に過ぎないのだ。

今の君はまだ、これらの測定結果の傾向性が何を意味しているのかを真に理解し得ないのかもしれない。しかし君に忠告しなければいけない。彼は我々のオペレーターではないし、なることも不可能というのが現状だ。現時点、彼はロドス医療部の非公開観測対象としてのみ存在できる。色んな意味で、彼は普通ではないからだ。そして我々が知る限りでは最低は二十数名ほどの偏屈な研究者がこの大地の隅々まで浸透している可能性が高い。彼らは同じ信仰と異なる目的のために、意図的にしろそうでないにしろ、対象と同じような個体例を増やし続けている。単純な生存本能か何かにとって強靭な精神力を持つ彼と同じように、あまりにも膨大な生物シグナルに押しつぶされず、恐魚にならずに済んだ個体例はおそらく非常に少ないと思われるが。

ミヅキ「昇進資料」

ミヅキの資料には明確に「恐魚」という表現が成されており、彼が深海生物たちのつながっている存在だということが仄めかされている。

皆さんが口にするものは、すべて海からの贈りものです。兄弟よ……みなぎる力が口と腹から手足を通じて、心臓へと達するのを感じませんか?

潮汐の下「SV-7 守護者」

昨年秋に開催されたアビサルハンター絡みのイベント『潮汐の下』では、イベリアに住まう人々が海に由来する食べ物を食らうことで、同質の存在へと変貌する一幕が描かれた。ミヅキもまた、命の危機に瀕した際にイベリア協会からの老人より渡された”箱の中のもの”を呑み込んだ一人であり、ロドスと敵対する生命体であるとも言える。

大陸版のオペレーター紹介文で示された接触禁止の「エーギル出身の一部オペレーター」とは、紛れもなくアビサルハンターたちであり、後に公開される回想秘録でもグレイディーアとケルシーとでミヅキを巡る確執が描かれた。

しかし、ミヅキが他の恐魚やシーボーンと明確に違うのが、彼が本能に任せるままに行動するのではなく、明確な善悪の区別を持ち、自らの意思を示していることだ。

ごくまれに、この子のような者が現れることもある。自身の意思と執着によって勝利をもぎ取り、より良い「自分」となる者が。

ミヅキ「第四資料」

彼が頻繁に口にする善悪の概念。種に益するものは「善」、害するものは「悪」として物事を判断している。

悪従は討たれるべきだし、その執行人は必ず現れる。

ミヅキ「作戦中4」

彼が同族と見做す存在が恐魚やシーボーンであればロドスと敵対しうる存在であり、人類が敵対する脅威そのものだろう。しかし、ドクターやケルシーたちロドスの幹部たちは、ミヅキに「もう一つの可能性」を見出し、彼に学習の機会を与えた。

よそからは良いところを身に付けて、自分が持っていた悪いところを切り捨てることによって、より良い自分になるべきだ。

ミヅキ「第三資料」

彼はまだ成長の半途にあり、如何ようにも変わりうる。ミヅキがロドスを同族と見做すことができるならば、彼の存在は海からの脅威に立ち向かう切り札の一つともなり得るのだろうか。

多くの脅威はただ人々に発見されていないだけだ。そのため我々はオペレーターに、来る日の共通の難題に立ち向かう時胃、強い意思をもって我々と、そして人類と共にあることを求めている。

ミヅキ「昇進資料」

激動のY1K(1000年問題)を乗り越えたヨーロッパは、やがて聖ヨハネ騎士団(別名、ロドス騎士団)を世界に生み出す。様々な懸念材料はあれど、ロドスがミヅキというイレギュラー要素を迎え入れたという事実が、テラの歴史を塗り替える組織へと変化しうる兆しなのかもしれない。

参考リンク

Namie氏はJP版ドッソレスホリデー期間中も高い頻度でミヅキについてツイートしており、生みの親として相当気に入っていることが伺える。

明日方舟——关于水月与水陈节奏的简单考据
https://www.bilibili.com/read/cv13798265

Arknights Lore: Mizuki analysis
https://gamepress.gg/arknights/lore/arknights-lore-mizuki

参考資料

海遊館
https://www.kaiyukan.com/connect/blog/2018/10/post-1631.html