テレジアがケルシーに遺した手紙

1月 18, 2022

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記録

あなたがこの手紙を読んでいるということは、きっと全て片付いた頃ね。

私に説いてくれた沢山の学説を、覚えているかしら?

私は…ずっと覚えているわ。

この大地には限りがあって、それは1つの球体の表面を僅かに覆う土でしかないと。

私たちの身体は最初からこうだった訳ではなくて、歩けるようになるまでは地を這っていたこともあると。

あの星々は私たちの足元に拡がる大地と同じように、空の軌道を進む筏であると。

ケルシー。

そんなあなたの言葉を、私はどれも覚えている。

あなたは、私たちの行いに意味を見出すよりも、自身に関する答えが知りたいと言っていたわね。

私がこの方舟にどんな思いを込めているのか、どうしてこの方舟をそんなに大切にしているのか、そんなことを何度も訊いてきたでしょう。

とても幼稚な答えだったから、結局、最後までハッキリと伝えられなかったわ。

ケルシー。

あなたの孤独は、私も感じていたわ。

自分には同類がいないと、考えていたからでしょう。

ケルシー。

私の答えはね。

この、ロドス・アイランドという方舟が、あなたの家になって欲しいと願っていたからなの。

あなたと一緒にそんな未来をこの目で見届けたいなんて、考えたことだってあるわ。

ただ、孤独に効く薬はないし、流浪の旅に終わりもない。

そして、死の病は治せない。

私は自分の精一杯をやったつもりよ。

この結末に、不満なんてないわ。

バベルの使命はここまでだけど、あなたたちと、この方舟の旅はまだ始まったばかりよ。

今、あなたが初めに抱いた疑問を解き明かすときなんじゃないかしら。

ながいながい夜の後には、ロドス・アイランドにも、きっと夜明けが訪れるわ。

温かな大地を航行する未来は、あなたたちみんなのものなんだから。

ケルシー。

私は、あなたの同類じゃないわ。

あなたの疑問を解いてあげることもできない。

だけど私は、あなたの味方よ、ケルシー。

これまでも、これからも、ずっと。

アークナイツ

Posted by shikine