レッドパイン騎士団視点のニアーライト(アークナイツ考察・ストーリーまとめ)
※ぶちおさん(@buchi_k018)よりskeb絵を描いていただきました!
ニアーライトの主人公は耀騎士ニアールだが、レッドパイン騎士団は華々しい騎士競技の舞台裏で物語の重要な歯車を動かす陰の立役者ともいえ、シナリオ中で多くのキャラクターと接点を持っている。ニアーライトを中心に、マリアニアールと赤松林のストーリー含めてレッドパイン騎士団の視点で時系列順にまとめ、各勢力の立ち回りを明確にすることが、本記事の趣旨。
※()内はメインとなるストーリー(マリアニアール or 赤松林 or ニアーライト)を指す。
- 1. レッドパイン騎士団の設立
- 2. 野鬃騎士イヴォナの加入(赤松林)
- 3. 商業連合会との敵対、無冑名からの襲撃(マリアニアール)
- 4. 遠牙騎士ユスティナの加入(赤松林)
- 5. 監査会との取引(赤松林)
- 6. 合成樹脂騎士シェブチックとの共闘(赤松林)
- 7. 無冑名による地下区画襲撃(ニアーライトPV)
- 8. メジャー本戦での事故(ニアーライト)
- 9. トーランドの協力(ニアーライト)
- 10. 四都大分断(ニアーライト)
- 11. 停電が与えた影響(ニアーライト)
- 12. 行進の護衛(ニアーライト)
- 13. ロドスまでの道のり(ニアーライト)
- 14. 大陸版オペレーター紹介文
- 15. 補遺:ソーナとグレイナティのモチーフと確執、レッドパインの由来
- 16. 参考リンク
- 17. 関連記事
レッドパイン騎士団の設立
レッドパイン騎士団とは、ソーナ(フレイムテイル)を団長とするカジミエーシュの感染者騎士団である。ロドスに実装されているオペレーターは、ソーナ(フレイムテイル)、グレイナティ(アッシュロック)、ユスティナ(ファートゥース)、イヴォナ(ワイルドメイン)の4人とジャスティスナイトの1機。
感染者に対する差別はテラにおける他の国家に違わず、カジミエーシュでも根強く存在する。騎士競技がもたらす莫大な利益によって商業が成り立っている大騎士領カヴァレリエルキにおいて、虐げられる感染者たちの心に火をつけた出来事が、血騎士と呼ばれる感染者騎士のメジャー優勝だ。
ニアーライト本編3年前、感染者であることを隠しながらチャンピオンとなった血騎士は騎士競技のルール変更を要求し、感染者騎士法が成立。感染者であっても騎士として登録し、騎士競技に出場することが可能となる。しかし3年という月日を経ても、感染者に対するその風当たりの強さが変わることはなかった。
感染者買収事件、見通し定まる――慈悲を与えることは放任ではない
マリア・ニアール BREAKING NEWS 中央ジャーナル
BY CENTRAL JOURNAL
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今年は感染者参加制度が施行されてから三年目となります。喜ばしいことに、この人道的な政策は顕著な成果を得ています。かつて各地で起こった感染者による事件数は著しく減り、生存のための争いも減少しています。彼らの生き延びる姿勢は尊敬の念を集め、富をも勝ち取るようになりました。
しかし、感染者が逐年増加していることによる、避けられない問題もやはり発生しています。感染者の騎士たちに適切な治療を提供できていない以外にも、望まぬ事態が起こるようになりました。一試合と競技により大きな財を得た感染者が、同じ感染者の同胞を大量に買収し、騎士協会の容認を得ていない組織を独自に結成したのです。それらの組織の多くは、社会の安定を破壊し、非感染者に報復することを目的としており、違法な資金収集、違法な武装集会などの容疑がかけられています。
現在、騎士協会は法的手段に則り国民院に起訴状を提出し、感染者の騎士による違法感染者の大量収容を取り締まるように要請しました。「四都市大分断」の悲劇は、再びカジミエーシュに訪れることはないでしょう。
カヴァレリエルキのメディア紙は感染者参加制度を「人道的な政策」と報じているが、感染者が参加資格を獲得するための試練は”人道”という言葉から凡そかけ離れたものであることが、ソーナの口から語られている。
まず、鉗獣が詰め込まれた檻の中で生き残らないといけないの。それから、他の感染者の流した血を、一歩、また一歩と踏み越えてようやく、普通の騎士たちと同じ資格を勝ち取れるのよ。
マリア・ニアール MN-4 戦闘後 グローリーシールド
大体が成金どもに金で買われて、賭けのおもちゃに使われている。勝ったところで、ちょっと夕飯が豪華になるくらいで、万が一負けでもしたら、スクラップにされる心配をしなきゃならないわね。
赤松林 幕間 レッドパイン
感染者が騎士の称号を得るためには、命がけの試合が行われる地下競技場で勝ち抜く必要があり、騎士としての栄誉に憧れる感染者たちはその泥沼の中で次第に心を失っていく。
そんな”当たり前”に対して疑問を投げかけ、感染者同士が助け合い、騎士競技における感染者騎士の待遇改善を志したのが焔尾(えんび)騎士ソーナだ。
とある競技場で行われたバトルロイヤル「集団混戦」、自らが生き残ることで精一杯な状況下、他人を踏みにじることに疑念を抱かない感染者たちの中で、「他の人を勝たせるわけにはいかない」という共通項を見出したソーナと灰毫(かいごう)騎士グレイナティ・カリスカは、お互いに手を組むことを決める。
グレイナティはソーナとともにレッドパイン騎士団を立ち上げた。
アッシュロック 第二資料
ソーナは故郷近くに植わっていた木から名前を取り、「レッドパイン騎士団」と命名した。
野鬃騎士イヴォナの加入(赤松林)
設立から日の浅いレッドパイン騎士団にとって、戦力の増強は急務だった。「優れた身体能力と戦闘力を有すること」を条件として任務部隊のリーダーを探していたソーナとグレイナティの二人は、休憩所でのいざこざで出場停止処分が下されることになった野鬃(やそう)騎士イヴォナ・クルコフスカに目をつける。
陰謀や謀略といった裏事情に疎く、商業連合会によって有り金を奪われたイヴォナにとってソーナの提案は渡りに船であり、ソーナが信頼に足る人物であることを直感的に悟ると、イヴォナは余計な口出しをすることなくレッドパイン騎士団への入団を決めた。
ソーナとのやり取りを横目に見ていたグレイナティは、イヴォナをあまりに真っすぐで乱暴と評しながらも、その根底に回りくどい考えがなく、仲間として引き入れることに肯定的な反応を示した。
イヴォナをレッドパイン騎士団に招くため、ソーナは暴力沙汰の加害者として冤罪を被ったイヴォナの保釈金を補填しており、その事実を知ったイヴォナは借りを作りたくないと感染者の救援に出ていたソーナ・グレイナティたちを探す。
ハンターに追われていた感染者の子供を匿うソーナを目にしたイヴォナは、勧誘時に語られた信念が本物であることを理解し、一人の騎士として忠誠を誓った。
聞け、ソーナ。我イヴォナは、今この時よりレッドパインの名を負おう。騎士としての矜持をかけて、栄誉を勝ち取り、我らの理想を実現させるために全てを捧げると誓う。あたしの理想は――
赤松林 幕間 一暴れしようぜ!
ソーナ、もしもレッドパイン騎士団が感染者の現状を変え、彼らを守るというのなら――あたしは、あんたと共に命を懸けよう。
尚、レイジアン工業の旧モデルであるジャスティスナイトは、イヴォナによってゴミ溜めの中から見出されており、ソーナから紹介された感染者エンジニア騎士によってその機能が修復され、イヴォナのペットとしてレッドパイン騎士団に所属することになる。
商業連合会との敵対、無冑名からの襲撃(マリアニアール)
レッドパイン騎士団が商業連合会から付け狙われる分岐点となったのは、騎士競技に関わる企業と関わらないことを公言したことだ。
新世代の反逆と無知――新星騎士七名全員、騎士団の勧誘を拒否
マリア・ニアール BREAKING NEWS 四都スポーツ
BY KAWALERIELKI SPORTS
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昨日午後、遠牙騎士は複数企業からの勧誘を三度断り、メディアで公に「独立騎士団」を成立する計画を公表した。時を同じくして、人気の独立騎士マリア・ニアールも、スウォマー食品などからの加盟要請を断った。さらに各試合で頭角を現し始めた感染者騎士団「レッドパイン」も、どの企業とも組まないと公言した。このような現象を我々はこう考察する――騎士競技の凄まじい発展に伴い、彼らは「自由」を追い求めるあまり、平和な時代において「騎士の栄光」なるものを復活させようとするなど、新世代の騎士の驕りと無知を知らしめようとしているのではないか。
騎士団とスポンサーは栄辱を共にし、密接な関係を築いてきた。第一法令が施行されてからというもの、数百年間に渡り騎士階層は世間からの崇拝を集めている。しかし、カジミエーシュの迅速な発展と共に、騎士は新しい時代に適した存続の道を見つけるべきではないか。若き騎士の間に蔓延する不穏な現象を、代弁者のマッキーは「痛恨な誤解」だと称している。
マリアも、後述するユスティナも商業連合会の息の掛かった企業からの勧誘を固辞して以後、度重なる無冑名からの襲撃に直面することになる。
ソーナは、遅かれ早かれ商業連合会・無冑名と敵対関係になることを既に覚悟していたのか、襲撃に際してもさして驚いた様子なく対処している様子がセリフに表れている。
――なーんて、驚くと思った? 無冑盟の刺客さん。
マリア・ニアール MN-5 戦闘後 スウォマー食品
これ以後、騎士競技予選を勝ち進めていたソーナとグレイナティは「訓練中の事故」という名目で、以後の試合を欠場することになった。
遠牙騎士ユスティナの加入(赤松林)
独立騎士としてその名を馳せていた遠牙(えんが)騎士ユスティナ・バレンタインは、失踪という形で出場予定の試合放棄を余儀なくされた。
遠牙騎士、ファンによる暴力事件に巻き込まれる? 未だに行方不明
マリア・ニアール BREAKING NEWS THE RED WINE
BY RED WINE
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遠牙騎士がファンの暴力事件に巻き込まれた。話によると、7日の夜、遠牙騎士がとある工房に行き、メンテナンスを受けた装備を回収した帰り道、某騎士団の過激なファンに遭遇し、口論の末、喧嘩に発展したという。封号のある正式な騎士として、「遠牙」ユスティナが正しい判断をできなかったことは明らかである。警備員が現場に駆け付けた時、そこにいたのは遠牙騎士から暴力を受けたと語る数名の民間人のみだった。遠牙騎士も重傷を負ったとのことだが、そこに彼女の姿はなかった。
本件に関して、国民院は厳格な調査を実施することを発表した。罪を犯した以上、どんな理由があれど、姿を消したことに申し開きはできないだろう。
騎士ファンとの乱闘に巻き込まれ、民間人に暴力を振るったという競技新聞の一面を飾っているが、これは偏向報道であり、実際には民間人を装った無冑名によって襲撃を受けたというのが事の真相だ。
ユスティナが襲撃を受けた理由は、企業スポンサーに頼らない独立騎士団の設立を意思表明したこと、そして同じく独立騎士であるマリア・ニアールと共闘予定だったことが挙げられる。独立騎士の機運が高まりつつある情勢を危惧した商業連合会は、ユスティナを騎士競技の舞台から排除することで独立騎士同士の繋がりを断ち、ユスティナ同様に人気が鰻上りとなっていたマリアを孤立させることで、騎士競技でのマリア暗殺の成功率を高めようと画策した。
ソーナは商業連合会の動きを察知していたものの、一足遅く、駆けつけたのは既にユスティナが偽装民間人たちとの戦闘を開始した後だった。同じ感染者騎士として名が通っていたソーナ・グレイナティを、ユスティナは既に認知しており、二人が自らの助太刀に来たことを認めると、即座にレッドパイン騎士団の拠点へ向かうことを決める。
耀騎士に憧れ騎士になることを夢見た村娘ユスティナは、大騎士領へたどり着き、騎士登録を行う直前で感染者となった。抱いた夢を打ち砕かれた少女が再び希望の炎を灯すのは、血騎士がメジャーで優勝し、感染者騎士法案の制定を進めた後のこと。
試合に勝ち続けることで栄誉が得られ、明るい未来を切り開けると考えていたユスティナだが、世間の見る目が何一つ変わらないことを悟り、再び深い失望を覚えてることになる。行く当てのないユスティナに対し、ソーナは持ち前のコミュニケーション能力で勧誘を試みた結果、ユスティナは故郷を出たときの決意を懐古し、レッドパイン騎士団へ入団することを決める。
ファートゥースがレッドパイン騎士団に入り、そこに残った動機は一番単純だ。フレイムテイルが誘ってくれたからだ。同じ感染者騎士で、同じ境遇で、騎士団の仲間として受け入れてくれて、安心感をもたらしてくれた。一人ぼっちの、帰る場所を失った人間にとっては、これ以上の理由はいらなかった。
ファートゥース 昇進資料
監査会との取引(赤松林)
ユスティナを迎え入れたレッドパイン騎士団に対し、無冑盟からの襲撃は次第に激しさを増す。なりふり構わなくなった商業連合会は、ソーナに対して感染者の蔵匿を理由に騎士協会条例違反を通告。もはや民兵の装いなくレッドパイン騎士団へ攻撃を仕掛けることとなる。
レッドパイン騎士団が援助する一般感染者たちも反抗に加わっていることを知った無冑名は、感染者の居住区域にガスを使い家から燻り出した後、粛清を進めていく。
もはや背水の陣となったレッドパイン騎士団であるが、ソーナは、監査会上層部メンバーであり騎士協会の副会長でもあるデミアンとの対話を果たす。
ソーナ:……相手は老騎士一人だった。監査会上層部のメンバーで間違い無いわ。
赤松林 幕間 レッドパイン
グレイナティ:ソーナ、大騎士領の貴族をあまり信用し過ぎない方がいい。
ソーナ:……デミアンよ、騎士協会の副会長の。
デミアンはレッドパイン騎士団に対して「大分断」を提案した。大分断の詳細については、ニアーライトにて次のように語られている。
ユスティナ:……四都大分断。対外的には、メジャー開催を妨害するために、リターニアの過激分子が行った破壊行動による事故として報道されてる。
ニアーライト NL-3 戦闘後 それぞれの準備
ソーナ:でも、この都市がそんなに脆いわけがないもの。大方、組織同士が足の引っ張り合いをした結果だったんでしょうね。とはいえ、あの騒動がカヴァレリエルキの……「偉大なる都市」の一体どこが腐敗しているのかを、人々に見せつけたことは確かよ。
ソーナ:三年前、前回行われたメジャーの前夜を覚えているかしら? 四大都市が接続したときに、中枢区画の動力炉がテロによって麻痺したわよね。
ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌
スムーズな連結のために、各区画は既にエンジンを停止していた。この状況で中枢区画の電力を失えば、それぞれがそのエンジンを含む自立電力システムに切り替える必要に迫られるわ。
その結果、区画同士の衝突を防ぐため、大騎士領はばらばらにならざるを得なくなった。
それが、四都大分断。
監査会は商業連合会によるカヴァレリエルキ支配を良しとしておらず、前回大会では商業連合会に対してメジャー運営の失態を演じさせることで、その影響力の低下を狙った。
今大会においては、商業連合会に対して明確に反発しているレッドパイン騎士団に目をつけ、その手を借りることで大騎士領における商業連合会の地位を失墜させるべく声をかけた…というのが事のあらましだ。
この取引により、ソーナたちは合法的な身分を取り戻すことが約束され、四都大分断を成功させるために様々な作戦を講じることになる。
以後、レッドパイン騎士団は監査会と商業連合会による抗争に巻き込まれていく。
合成樹脂騎士シェブチックとの共闘(赤松林)
ロアーガード社の広告塔であり、ロアー騎士団の先鋒を務める合成樹脂騎士シェブチックは、マリアに敗北した後で現在の地位を追われることになると、代弁者チャルニーより伝えられた。
……残念ながら、ロアー騎士団はあなたをメジャーの先発から外すつもりのようです。新参の補助騎士が、あなたとほぼ同じ順位につけており、団体戦だと彼のアーツのほうが役立つとの判断で。
マリア・ニアール MN-5 戦闘後 スウォマー食品
チャルニーはシェブチックに対し、現在保有するポイントの譲渡を要求した。それは今シーズンのメジャー出場を諦めることに他ならず、騎士競技としての誉れで生きてきたシェブチックに対し、商業連行会の言いなりになることを暗に示す通告であった。マーティンのバーを訪れたシェブチックはその胸中を吐露する。
シェブチック:俺はただ、貴族を弄ぶにはそれ相応の代価が必要になるという事を奴に――チャルニーに思い知らせたい……マリア・ニアールも奴の照準圏内にいるはずだ。そうだろう?
マリア・ニアール MN-5 戦闘後 スウォマー食品
マーティン:……不満のある騎士を集めて協会に抗議でもするつもりか? そんなことをしてもろくな目には遭わないぞ。
シェブチック:俺は誰かの言いなりになりたくないだけだ。
商業連合会に対して反駁することを決めたシェブチックだが、その後無冑名からの襲撃により病院送りとなる。
ブレイキングニュース:「合成樹脂」シェブチックが、騎士領第三病院に輸送
BY CENTRAL JOURNAL
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今日昼頃、ロアー騎士団の先鋒であり絶大な人気を誇る競技騎士「合成樹脂」シェブチックが自身の豪邸で息子の誕生パーティーを開いた。その際に、何度も体の不調を訴えると、やがて席を外し、寝室に休憩を取りに行ったのだが、その後使用人により、廊下に倒れているところを発見された。その後、シェブチックの家族は「子供のため」という理由で全ての記者と来客を謝絶している。一方、騎士領第三病院の関係者も「シェブチックさんは確かにここで治療を受けています」という情報を開示しただけで、具体的な状況に関しては「古傷による合併症」と述べるにとどまっている。ファンたちは既に自発的に祈願活動を行っており、この高名な競技騎士の無事を祈っている。
マリア・ニアール BREAKING NEWS 中央ジャーナル
シェブチックが無冑盟と敵対関係になったことを悟ったソーナたちは、四都大分断の成功率を高めるべく、シェブチックの救出作戦を実行する。他の騎士貴族同様に感染者への差別意識を強く持つシェブチックだが、協力関係構築のメリットを考慮し、背に腹は代えられず、レッドパイン騎士団の要求を飲むことを決める。
保守的な思想を持つシェブチックは、レッドパイン騎士団メンバーとは中々反りが合わず、とりわけ騎士貴族という出自を持ちながら家を追われたグレイナティとの仲は険悪だった。
しかし、感染者騎士たちとの交流を通じ、家族を想う気持ちに対する理解を示すユスティナや、商業連合会が大騎士領を掌握することに対して同じ抵抗意識を持っていることを知り、次第に感化されていく。
無冑名による地下区画襲撃(ニアーライトPV)
無冑盟による地下の感染者居住区襲撃の一幕は、ゲーム内シナリオではなく、ニアーライトPVにて描かれている。
ソーナが感染者騎士として戦い続ける理由は、彼女のプロファイルにて次のように記されている。
ソーナだけは、最初から最前線に立つ理由を持っていないようでした。
フレイムテイル 昇進資料
ですが、本当に「理由がない」わけではありません。信念を持たない者が、あのような人間性を擦り減らす街でここまでもがき続けられるわけがないのです。
ただ――我らが耀騎士ニアールがそうであるように――生まれつき、必要があれば自身を捧げる高潔な精神と、犠牲を払う覚悟を持ち、果てしなく遠い目標のために戦うことができる人々がいるのです。そのことに気づける者が少ない、ただそれだけです。
その高潔な精神はソーナの行動にも現れており、競技騎士として得た報酬をカヴァレリエルキに住まう感染者たちのために惜しげなく使い、住人たちもまた彼女を慕う様子がPVでも描かれている。
しかし、粛清を決めた無冑名は、そんな感染者たちの営みをいとも容易く破壊した。
赤松林 幕間「レッドパイン」の最後、ソーナはグレイナティから地下の隠れ家がバレたという連絡を受ける。感染者が住まう第11商業地区の地下パイプラインへと向かった彼女の瞳には、無冑名が引き起こした爆破によって炎の舞う地下区画が映っていた。
繰り返される爆破によりソーナはケガを負い、更には追撃してきた大勢の追手と対峙することに。
多勢に無勢。疲弊していくソーナに対して容赦の無い攻撃は止まらず、果ては背後からのドローンによる不意打ちで彼女は満身創痍となる。
生まれながらの高潔さを持つソーナだが、天災によって家族も友人も一夜にして喪った彼女は、過去の話になるとその表情を固める。グレイナティによるとソーナは今でも時折泣いているようで、その高潔さの裏側には少女としての脆さも隠し持っていた。
そんな脆さから溢れ出した失意の念は、自らが守りゆく者たちを救えない絶望感の果てに、口をついて出る。
カジミエーシュにとって……感染者にとって……騎士って……一体なんなの?
その答えは、大地を照らす崇高な騎士によって行動を伴って示された。
自らの前に立つ耀騎士ニアールに圧倒されたソーナは、後に彼女のことをこう評している。
大きな車輪を避ける時、あたしたちは足元の道を見ながら走るでしょ?でもあの人は、車輪なんて気にも留めないで、ぶつかって吹っ飛ばして一直線よ。あたしたちがついていけるか、あの人が通り過ぎたところにまともな道ができるかどうかはともかくとして、檻をぶっ壊してくれた以上、少なくともそこから漏れてくる光が見えるんだもの。
耀騎士ニアール 第四資料
メジャー本戦での事故(ニアーライト)
メジャー本戦にて、レッドパイン騎士団メンバーの一人が死亡する事故が発生した。
世論の高まりに国民議会応答:感染者については必ず対応
ニアーライト ROSEBUDNEWS 中央ジャーナル
BY CENTRAL JOURNAL
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近日、騎士競技メジャー本戦のバラエティー競技中に起きた「感染者騎士事故死事件」に関し、国民議会代表は記者会見での質問に応じ、社会全体が関心を寄せるこの問題に対する回答を行った。
国民議会代表は、試合会場で起きた不幸な事故は一連の悪質な現象の縮図であると述べた。近頃の感染者組織非合法集金問題や武装所有問題に関する社会各方面の関心と不安について国民議会はすでに認知している。これらの不安をもたらす現象は、民衆の感染者騎士法案への信用を揺るがすだけでなく、各方面が感染者の騎士競技出場を可能とするために共に払った努力や各種交渉に対する破壊行動でもあると指摘。
代表は記者会見において、感染者がもたらす動乱に対する取り締まりや規制は早急に行わねばならないと重ねて述べた。――これは感染者を含む、全国民の生活福祉がかかっている問題であると主張。カジミエーシュにおいて、感染者騎士が関連法案の保護を受けることができるのは、安定して繁栄するカジミエーシュ社会が人道的精神を貫いているためである。そして、輿論が入り乱れる今でこそ、社会各方面は本議題に対して警戒と自制を保ち、国民議会の問題解決への決心を信じる必要があると述べた。
事故の被害者となったのは、赤松林の幕間「レッドパイン」に登場したジェイミー。
ジェイミーは競技騎士になった後、不幸にも鉱石病を患う。幼い娘を養うために、ジェイミーは重症化する自らの症状を偽り続け、大会に参加し続けた。騎士競技にて受け取った報酬は、隠匿に手を貸す騎士協会に吸われ続け、ユスティナがジェイミーの部屋で見つけた手紙には、騎士協会の底なしの欲望が記されていたという。
事件の引き金を引いたのは赤松林 幕間「灰かぶり」にて、グレイナティに打ちのめされた錆銅騎士オルマー・イングラ。試合中に対戦相手を侮蔑するようなスタイルで戦うイングラは、試合中に散々グレイナティを煽るも、彼の斧は堅牢無比な灰毫騎士の要塞を崩すに至らず、挙げ句の果てには祝砲と言わんばかりに残しておいた最後の一発を空に打ち上げられ、苦杯を嘗めることとなった。
グレイナティとの一戦は、イングラの感染者に対する憎悪を更に強めることとなり、メジャー本戦で対峙したジェイミーに対し、4対1の不利な局面で戦いを仕掛ける。対峙する騎士の一人から棄権勧告を受けたジェイミーだが、騎士協会からふっかけられた過剰な賞金支払いや、不当に差別を受ける感染者としての憤りから、鉱石病の末期症状となった自らの身体を最期まで燃やし尽くした。
鉱石病により命尽きた感染者の遺体がどのような被害をもたらすのかについては、オペレーション オリジニウムダストにて詳しく描写されている。
暗い部屋の中、死者の傷口からきらめく粉塵が噴き出し、狭い空間に飛散していく。それに続いて光が暗闇を突き破った。
OP:OD OD-6 戦闘後 領主邸攻防戦
病に侵され続けた身体は粉塵を撒き散らし、その遺体を素早く処置しなければ、周囲にいる人間を新たな感染の苗床として侵食する。
ドクターの指導の下に、亡くなった感染者騎士の遺体処理をつつがなく完成した。この過程で感染した人物はいない。
ニアーライト 監査会の依頼
ドクターの尽力によって二次被害者は出なかったものの、自らの安全に拘る観戦者たちは、この事故によって感染者騎士に対する差別意識を更に強めることとなり、国民議会に対して感染者騎士法の改正を求める問い合わせが殺到する。
加えて多くの騎士団が、大規模な感染リスクに関する意見書を提出する事態となり、この事件によって大騎士領における感染者とレッドパイン騎士団の立場は、一層厳しいものとなった。
騎士協会が今期の議事次第を公開、「レッドパイン騎士団解散」の議論続く
ニアーライト ROSEBUDNEWS 関連記事
また、この事故がレッドパイン騎士団に与えた影響も大きく、怒りを露にした感染者騎士たちは連合会や騎士貴族の打倒、そしてイングラの処刑を声高に叫び始める。
トーランドの協力(ニアーライト)
「ギルドリーダー」という異名を持つバウンティハンターのトーランド・キャッシュは、"抵抗の意志"を探し求め、カヴァレリエルキの地を踏んでいた。
トーランドは騎士貴族を「昔の悪党」、商業連合会を「新しい悪党」と評していることから、トーランドの言う"抵抗の意志"とは、騎士協会や商業連合会、監査会といった組織がカジミエーシュを統治することを良しとせず、今を必死に生きるヒエラルキー下層の人々を指しているのだろうか。
久しく大騎士領を訪れていなかったトーランドは感染者が騎士として認められていることに驚き、彼らの存在に目をつける。
レッドパイン騎士団は俺たちの重要なパートナー候補だからな。俺はあいつらを引き入れたいと思ってるんだ。感染者とはいえ、彼女たちもまた「騎士様」だしよ。
ニアーライト NL-4 戦闘前 詩の容貌
トーランドの出自は明確に語られていないが、プラチナの隣に彼の立ち絵が配置されていることから、元無冑盟メンバーであると推測を立てることができる。
トーランドは無冑盟の動きを目敏く察知し、イヴォナを暗殺しようと矢を射る「ラズライト」モニークの妨害を行なった。命拾いしたイヴォナによってソーナたちレッドパイン騎士団に紹介されたトーランドは、自らの有用性を示すように連合会ビルの内部構造図を提供する。
彼は、税金や天災に追い詰められた村の住人たちが奪い合い、逃げ惑い、死んでいく光景を目にし、現在の大騎士領を牛耳る商業連合会のビルが崩れ去る様が見たいと語った。そんなレッドパイン騎士団による”面接”を経て、協力関係を築けると判断したソーナたちは、四都大分断の作戦にトーランドを引き入れることを決める。
四都大分断(ニアーライト)
作戦の実行日を10月31日に定め、レッドパイン騎士団はチームを次のように分割した。
- 無冑盟への攻撃、陽動:イヴォナ、トーランド
- 連絡係:ユスティナ
- 大騎士領の動力センター襲撃:グレイナティ、シェブチック
- 連合会ビルへの侵入、機密情報(零号地の真相・無冑盟のリスト)入手:ソーナ
10月28日:マリアとの遭遇、プラチナとの戦闘
作戦メンバー:イヴォナ、トーランド
四都大分断の作戦を成功させるためには、動力センターや連合会ビルとは関係の無い場所で無冑盟の目を引き、レッドパイン騎士団の動向を探られないようにする必要があった。商業連合会への対抗意識を燃やす感染者たちを率い、無冑盟が拠点とする場所を襲撃したイヴォナは、作戦の途中で囚われていたマリアに遭遇する。
姉である耀騎士ニアールの試合を妨害しようとする無冑盟に対して抗う意志を見せたマリアだが、無関係な人間の巻き込みを嫌ったイヴォナは、トーランドに対してマリアを安全な場所まで送り届けるよう合図した。
10月31日:モニーク、無冑盟第三小隊との戦闘
作戦メンバー:イヴォナ、トーランド
エネルギーエリア襲撃の30分前、イヴォナは無冑盟の巡回小隊に正面から攻撃を仕掛けた。
無冑盟のラズライトは四都大分断の動きを既に察知しており、商業連合会からの軛から逃れたいラズライトにとってレッドパイン騎士団による動力センターの襲撃は寧ろ好都合だったが、理事会から疑われないように立ち回る必要があるため、適度にレッドパイン騎士団側の人員を誅殺する必要があった。
そこでラズライトのモニークは、無冑盟の第三小隊を率いて、無冑盟相手に突撃するイヴォナに狙いを定める。
無冑盟の小隊を発見したユスティナはイヴォナに連絡を送るが、レッドパイン騎士団の使用する周波数がピンポイントで遮断され、イヴォナはモニーク率いる小隊から逃れられなくなる。
無冑盟のランク持ち相手には逃げるよう指示されていたイヴォナであったが、「カジミエーシュ中、どんなターゲットも殺せる」ことを条件に採用されているラズライトのモニークを目の当たりにしたことで逃走が不可能であることを察知し、自らの命と引き換えにモニークの足止めすることを決意。
モニークとイヴォナの実力差は圧倒的であった。モニークは、急所を敢えて外すことで通り一帯をイヴォナの血で染めるようにしながら戦いを続け、抵抗を続けるレッドパイン騎士団の戦意喪失を狙う。血溜まりに沈むイヴォナの命がそう長くないこと、そして停電になる頃合いを見計らったモニークは次の作戦を遂行すべく、無冑盟のメンバーにイヴォナの処理を任せ、その場を立ち去った。
無冑盟メンバーがイヴォナを葬ろうとする間際、血騎士が登場。
血騎士は一人で抵抗を続けたイヴォナに称賛の言葉を送り、その場にいた無冑盟の小隊を壊滅させた。
その後駆けつけたユスティナとシェブチックによって、イヴォナは九死に一生を得る。
残りの感染者騎士に狙いを定めたモニークだが、ソーナへの侵入に手を貸し終えたトーランドが合流し、彼との戦闘を繰り広げることに。大停電後は、古の戦士ナイツモラの末裔である追魔騎士トゥーラも戦いに加わり、その場は乱戦状態となる。
10月31日:大停電
作戦メンバー:グレイナティ、シェブチック
動力センターへ奇襲をかけるはずのグレイナティだったが、それより先にロイ率いる無冑盟がエネルギーエリアを破壊したことで、撤退を余儀なくされる。想定外を察知した二人は使用不能となった通信機に代わり、グレイナティはソーナのいる連合会ビルへ、シェブチックは無冑盟の動きを観察するユスティナの元へと向かい情報を伝達した。
10月31日:連合会ビル侵入
作戦メンバー:ソーナ
ソーナはコンピュータールームへの侵入を果たし、持参したチップへ零号地の計画書と、無冑盟の内部資料をダウンロードする。撤退の間際、彼女の大きな尾が晒されてしまい、ラズライトのロイに見つかる。逃げようとしたソーナは近くのドアに体重を預けたことで別の一室へ入り、そして彼女を待ちわびていたかのように電話が鳴り響いた。
私に言わせれば、騎士にしろ、商人にしろ、感染者にしろ、皆視野が狭すぎる。
ニアーライト NL-6 戦闘後 包囲された者
騎士・証人・感染者としての立場を表明して行動することを揶揄するような発言、かつ無冑盟のリストをラズライトへ渡すよう要求していることを踏まえるに、電話の主はクロガネか。ソーナはその要求を拒み、高さ10メートル以上あるビルの階から飛び降りる。
10月31日:ロイとの対峙
作戦メンバー:ソーナ、グレイナティ
ビルから飛び降りたソーナはアーツによって衝撃を抑えながら、情報伝達に来ていたグレイナティに受け止められる。
その後、無冑盟のリストを奪うべく現れたロイと対峙するが、ソーナはロイの狙撃からグレイナティを庇い、とっさにチップをグレイナティへ受け渡した上で、今度は区画の狭間へと墜落していく。
狙いを定めたはずのロイであったが、「今、一瞬目の前が暗くなったよな……?」という発言から、遠距離から燭騎士による妨害があったものと推察される。
激高した演技によってロイの不意を打ったグレイナティは無事に退却し、結果として二人ともロイから逃げ延びることとなった。
10月31日:大騎士長イオレッタ・ラッセルとの邂逅
作戦メンバー:ソーナ
燭騎士に連れられたソーナを待ち構えていたのは、監査会トップの大騎士長イオレッタ・ラッセルだった。ラッセルは、監査会が四都大分断を看過したことは自らの本意ではないと前置きした上で、レッドパイン騎士団が再び合法的な身分を取り戻すために、公文書の準備や国民議会での法的文書の承認を手配すると約束した。
10月31日:プラチナとの対峙
作戦メンバー:ユスティナ、シェブチック
停電後、支援要請を受けたプラチナは零合地から無冑盟とレッドパイン騎士団のぶつかる戦場へ到着。ロイから逃れ得たグレイナティを捕捉したプラチナだが、ユスティナによる遠距離狙撃を受けて撤退を許すことに。
プラチナは自らを狙い撃った人物が二人いると見るや、得意の狙撃戦で場を制圧していく。遠距離戦は不利だと判断し接近戦を仕掛けたシェブチック・ユスティナに対し、プラチナはシェブチックの家族を解放することと引き換えに、今後無冑盟とは敵対しないよう取引を持ちかけた。
プラチナは無冑盟上層部による商業連合会の裏切りを聞かされておらず、ユスティナが指摘する通り無冑盟の総意を代表できる立場ではないことも事実だが、ラズライト以上に部隊の掌握力に長けるプラチナならではの現場判断・交渉と解釈できる。
これによってレッドパイン騎士団と無冑盟による長い夜の抗争が終わり、「四都大分断」作戦は幕を閉じた。
停電が与えた影響(ニアーライト)
大停電及ぼした影響の中でとりわけ大きかったのは、大騎士領カヴァレリエルキにおける商業連合会の権威失墜だ。
監査会上層部のデミアンがレッドパイン騎士団に四都大分断を依頼したのは、征戦騎士たちが正式にカヴァレリエルキの地を踏むための名目を用意するためだった。
大騎士領は大規模停電による緊急事態にあり、監査会はこうした非常時において、都市に軍を派遣する権限を持っています。
ニアーライト NL-ST-3 幕間 眠れる都市
征戦騎士の侵入に業を煮やした商業連合会の代弁者マッキーは、とっさに協力者へ連絡するも、頼りにしていた国民議会副審官のデュークが逮捕されたことを知る。
痛手を負った商業連合会は、監査会に対する抗議を表明した。
リアルタイム速報:商業連合会が征戦騎士の入城に厳重抗議、監査院未だ返答せず
BY CENTRAL JOURNAL
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先刻、カジミエーシュ商業連合会所属のすべての企業が連盟でカジミエーシュ監査会に厳重に抗議した上で、監査会に征戦騎士が無断で大騎士領へ進入した件に対して合理的な説明を行うよう求めた。商業連合会代弁者のマッキー氏は、征戦騎士がメジャー期間中に大騎士領へ進入することは「前例のない極めて危険な行動」であり、市民の正常な生活とメジャーの通常進行に重大な悪影響をもたらしたと主張。加えて、征戦騎士が停電の回復していないタイミングで、事前に知らせもなく大騎士領で行進を行ったことは、民衆の恐怖心を煽り不信感を植え付けるものであり、もし今後重大な良からぬ結果をもたらした場合、監査会はすべての責任を負わなければならないと非難。代弁者は、カジミエーシュの繁栄と発展は平和かつ安定した社会環境に由来するものであり、決して征戦騎士の予告なしの勝手な市街駐在という規則違反行為によるものではないと再度強調した。
ニアーライト ROSEBUDNEWS 中央ジャーナル
記事掲載の現時点において、監査会は未だに一切の回答を行っていない。
他方、痛手を負ったのは商業連合会だけでなく、カヴァレリエルキにおける感染者もまた、世間からの厳しい目に晒されることとなる。
だが……ここへ来て、世論はすべての事件を感染者によるものだと結論付け、我々を非難している……
ニアーライト NL-7 戦闘後 夢の余韻
大規模停電の最中、連合会幹部数名が暗殺され、同時にクロガネ三人が姿を消したことから、四都大分断の一件は、監査会の復権運動を利用した無冑盟上層部メンバーの計画のもとに実行されたと推測を立てることができる。
行進の護衛(ニアーライト)
再びメジャーの優勝者として返り咲いた耀騎士は、騎士協会からの授与式を拒否し、血騎士を担いでチャンピオンウォールの展示ホールへと向かうが、その行進を妨害すべく無冑盟による最後の行動が開始される。
耀騎士が感染者でないという宣言は、レッドパイン騎士団の感染者騎士の面々にも影響を与え、マーガレットと血騎士による行進を護衛する者と、感染者であることを隠していた耀騎士への憤りから無冑盟による攻撃を黙認する者とで二分された。
明かされた事実に驚きこそしたものの、ソーナ、グレイナティ、ユスティナ、イヴォナたち4人の行動は変わらなかった。
ジャスティスナイトの射掛けた矢が、耀騎士たちと無冑盟たちの間に突き刺さる。
イヴォナ:よそ見してんなよ、クソ無冑盟が!
グレイナティ:その矢――我らがチャンピオンに届くと思うな、無冑盟。
ユスティナ:……命中。完璧だね。
ソーナ:とにかく今は進んでちょうだい。この道の向こうまでね。ただこの街を抜けるだけのことだけど――
――たったそれだけのことが、偉大な行いになるんだから。
敵対しないように取引を持ちかけた相手が妨害に回ったことを見て、レッドパイン騎士団への狙撃の開始を試みるプラチナだが、その行動はレッドパイン騎士団とは別行動を取っていたシェブチックによって阻害された。
本来であれば、レッドパイン騎士団との協力関係は既に終わっており、「もう無関係のことなんだ」と口にしていたシェブチック。
四都大分断後、無事に妻と息子の救出を実現できたことについてシェブチックは感謝の言葉を述べ、自らが感染者で無いが故にレッドパイン騎士団に留まれないこと、新たな生活を始めるつもりであることをソーナたちに語り、別れを告げていた。
しかし、行動を共にしたソーナたちに対して思うところがあったのか、シェブチックは最後までレッドパイン騎士団への支援を続ける。
プラチナ:……またレッドパイン騎士団か。……征戦騎士のほうは、まだ現れてないみたいだね。こんな広々した通りに堂々と現れるなんて……これじゃ、狙撃してくれって言ってるようなもの――
ニアーライト NL-10 戦闘後 耀騎士
シェブチック:――動くな。
プラチナ:……
シェブチック:……ただ通すだけでいいんだ、プラチナ。
レッドパイン騎士団、マリア・ゾフィアとバーの常連、ムリナールとトーランド、燭騎士、ロドスによる妨害、そして銀槍のペガサスたちが到着したことで、無冑盟によるマーガレット・血騎士の暗殺は失敗に終わり、物語はフィナーレを迎えた。
ロドスまでの道のり(ニアーライト)
メジャー閉幕後、トーランドはソーナをとある村へと案内する。
やつれた少女の名前は「キャロル」であることから、この村は「騎兵と狩人」にてスカジとグラニが訪れた、滴水村であることが分かる。
青く燃ゆる心でAltyがケルシーと会話する前であることを考慮すると、「騎兵と狩人」の時系列は1097年春~夏頃、つまり「ニアーライト」の数ヶ月前。
「騎兵と狩人」にてキャロルは「村のみんなも感染者は怖がりますし……。」と発言していたが、「ニアーライト」にてトーランドは、感染者、農民、騎士、労働者、バウンティハンター、疲れ切った貴族…とそこに住む人間の特徴を挙げていることから、スカジたちが訪れてから数ヶ月の間に様々な人間を村へ受け入れたことになる。
キャロルがやつれた様子であったのは、トーランドが「進退窮まる」と表現しているように、短期間の間に様々な人間を受けれたことで村長としての業務があまりに膨大となったことが考えられるだろうか。
見かねたトーランドはそんな村の手助けとなるパートナーを探し、レッドパイン騎士団に目をつけた。トーランドの意図は次の一言に集約されている。
つまり、何が言いたいかっつーと……都市にないがしろにされた連中は、「連合」して、団結するべきだってことさ。
ニアーライト NL-ST-4 幕間 未知と未来
大騎士長ラッセルとのやり取り、騎士貴族シェブチックとの会話、滴水村の視察…様々な立場に置かれた人々との出会いと交流がソーナに与えた影響は大きく、レッドパイン騎士団としての意義を考え直すきっかけを芽生えさせた。
立ち上げ当初は商業連合会に抗い、感染者のために戦うことを旨としていたが、カジミエーシュという大きな枠組みの中で考えることの必要性と、仲間を不用意に巻き込みたくないという相反する気持ちに思い悩む。しかし、仲間たちはいつでも彼女をサポートし続けると語り、安心したソーナはまずは目先のこと…尊敬する耀騎士が所属していたロドスを目標地として定め、行動を開始した。
ニアーライトにおけるレッドパイン騎士団を巡る物語は、耀騎士ニアールのプロファイルにて次のように締めくくられている。
レッドパイン騎士団諸君とともに努力した結果、ロドス駐カヴァレリエルキ事務所が無事に設立された。
耀騎士ニアール 第四資料
大陸版オペレーター紹介文
フレイムテイル
https://weibo.com/6279793937/KEZaTbeTP
【種族】ザラック
【出身】カジミエーシュ
【精通】騎士競技、対人関係
【職種】先鋒 – 先駆兵
焔尾騎士ソーナがロドス人事部に到着する前から、廊下は大騎士領の感染者騎士たちで溢れかえっていた。どんな伝説の騎士がカジミエーシュの感染者騎士たちをここまで導いたのか、さらに言えば、どんな天才、酔狂、卓抜な指導者がカジミエーシュの灯を数十分でも消したのか、事件に直接関与していないオペレーターの多くは興味津々であった。
かくしてフレイムテイルは姿を現した。
利刃を持った逞しき壮漢でも、豊富な経綸を有する文人政客でもなく、遠謀深慮に長けた騎士貴族でもない――ただ、照れ隠しの微笑みを浮かべる普通の、感染者の少女だ。
彼女は本当に、あのレッドパイン騎士団の団長なのか?集まったオペレーターたちの多くが、そんな疑問を抱いた。しかし、フレイムテイルが人事部へ入室する前、期待の眼差しを向ける感染者たちを振り返ったとき、彼女の瞳の奥には見覚えのある色が映った。彼女はすぐに垢抜けた言葉でごまかし、自らを励ますような仕草をしたが、間違いなく――
彼女は、大騎士領に夜の帳を下ろした騎士だった。
アッシュロック
https://weibo.com/6279793937/KBMLSBcJx
【種族】ザラック
【出身】カジミエーシュ
【精通】火砲操作、陣地戦
【職種】重装 – 堅城砲手
レディース・アンド・ジェントルメン、お待たせしました。新たな騎士の登場です!
カジミエーシュの南部出身で、かつては騎士貴族の子でした。しかし、運命に翻弄され、鉱石病を患い、一族から追放。地下の闘技場からトーナメントまで、巧みな技と決断力で進んできました。緻密な防御は一滴の水も通さず、その火砲は雷のように轟く。勝っても負けても、皆さんのために最高のショーを見せてくれるはずです!
さぁ迎え入れようではありませんか、レッドパイン騎士団所属「灰毫」騎士 ―― グレイナティ!
ワイルドメイン
https://weibo.com/6279793937/KEFvcnACa
【種族】クランタ
【出身】カジミエーシュ
【精通】騎士突撃
【職種】先鋒 – 突撃兵
「どけどけどけ、あたしが来たぞ――!」
優秀な感染者競技騎士である「野鬃」騎士のイヴォナは、興奮気味にオペレーター契約へサインした。
金色をこよなく愛する彼女は、金色に輝くものに目が釘付けになる。トロフィー、ペナント、空に散る花火……カジミエーシュの騎士競技場では、彼女の勝利に歓声と祝賀の声が沸き起こるはずだった。
しかし、彼女はそのような称賛を得ることはあまりなく、感染者であるという理由だけで、ほとんどの人から愛されない運命にあった。それでも、ワイルドメインにとってそんなことはお構いなし。彼女にとっての勝利とは、金色そのものであるのだから。
相手が強ければ強いほど、挑戦しがいがある。たとえ勝てない戦いがあるとわかっていても、ワイルドメインは仲間を守るために最後まで戦い抜くだろう。そんな偉大で名誉ある魂は、生まれながらにして金色に輝いている。
ファートゥース
https://weibo.com/6279793937/KCohPgyBN
【種族】リーベリ
【出身】カジミエーシュ
【精通】偵察、精密狙撃、カントリーミュージック(吹奏)
【職種】狙撃 – 戦術射手
特別選手権の優勝者である耀騎士や血騎士ほどの実力と格式はないものの、その強さと実績で騎士競技の注目と話題を集め、選抜試合で封号を与えられた感染騎士は、紛れもなく侮りがたい存在である。
遠牙騎士ユスティナ。
カジミエーシュ騎士競技に関心がある者であれば、彼女の名前を聞いた事があるだろう。ニュースは彼女に関わる暴力行為や国民議会からの非難について報じたが、襲撃の渦中にいたことは確かであるものの、観客やファンに対する暴力というのは事実無根である。
彼女は、いまや独立騎士ではない。
「遠牙」ユスティナは現在、感染者の騎士団 ―― レッドパイン騎士団に所属している。
ジャスティスナイト
https://weibo.com/6279793937/KEmE5A1Cz
【製造元】レイジアン工業
【産地】クルビア
【精通】ライフコンビニエンス、サービス
【職種】狙撃 – 速射手
「シャットダウンされる直前のシステムの状態はどうだったの?」
「"Di-di"……これはジャスティスナイトには正確な答えが出せない質問です。他モデルの作業プラットフォームはどのように答えているのか、お伺いしてもよろしいでしょうか?」
「あの子たちは……私のそばで直接目覚めているね。そういえば、ジャスティスナイトのように更新されて再利用されたものは見たことがないね」
「残念ながらジャスティスナイトは、自身のSSS(ソリッドステートストレージ)を読み取る事が出来ません。しかし、クリアされていない最後のキャッシュデータでは、ジャスティスナイトは初期状態と異なる揺らぎを生じているようです」
「へぇ、どんなの?」
「人間の五感に基づいた表現に80%一致する単語で表すならば……"Di-di"……恐怖と言えるでしょうか」
補遺:ソーナとグレイナティのモチーフと確執、レッドパインの由来
フレイムテイル(以下、ソーナ)とアッシュロック(以下、グレイナティ)の種族である、ザラック(झलक)にはヒンディー語で「一目」「チラ見」という意味があり、これはげっ歯類の機敏さに因んだものか。
ソーナとグレイナティの外見で特に目を引くのが、その大きな尾だ。彼女たちの昇進2イラストからも分かる通り、彼女たちのモチーフはリスであると判別できる。
とりわけ赤と灰という色に着目するならば、ソーナはキタリス(Sciurus vulgaris)、グレイナティはトウブハイイロリス(Sciurus carolinensis)だろうか。この2種のリスたちには、とある因縁が存在する。
ソーナ:あたしの故郷ね、実はヴィクトリアの近くなのよ。
赤松林 幕間 レッドパイン
ヴィクトリアのモデルであるイギリスでは、近年キタリスの個体数が著しく減少している。それは、人間の狩猟による影響ではなく、別の種、トウブハイイロリスによる脅威に晒されたことが原因だ。
イギリスにおける生物多様性の保護団体「UK SQUIRREL ACCORD」によると、1870年代に北米からトウブハイイロリスが持ち込まれ、キタリスの生態系に著しい影響を与えた。
トウブハイイロリスはキタリスと比較して繁殖力が高く、高い適応性と採餌能力はその生存力に直結している。どんぐりを例にとると、トウブハイイロリスの消化器系にはまだ熟していない緑色状態のものを食べられるが、消化酵素の違いからキタリスは完全に成熟した茶色のものしか食べられない。
更にトウブハイイロリスは、キタリスの食料と生息地を奪うだけでなく、トウブハイイロリス自身にはあまり影響の無いリス痘ウイルス(squirrel pox virus)の媒介によってキタリスにストレスを与え、繁殖能力を低下させる。
下図で分かる通り、ここ数十年の間でキタリスはイギリスにおける生息域の大部分を失うこととなった。
※Red squirrel(赤色)がキタリス、Grey squirrel(灰色)がハイイロリスを表す
引用:UK SQUIRREL ACCORD
https://squirrelaccord.uk/squirrels/distribution/
グレイナティの出自であるカリスカ家がソーナの故郷を見捨てたことというエピソードは、このトウブハイイロリスによるキタリスの駆逐に関係すると考察できる。
グレイナティ:まさか……あの天災に巻き込まれたザラックか!? ということはお前も当時騎士たちに――カリスカ家に見捨てられた……
赤松林 幕間 レッドパイン
もう一つのキーワードである「レッドパイン」…つまりアカマツは、キタリスの好物だ。トウブハイイロリスによって成熟していないどんぐりを食べられてしまうキタリスにとって、アカマツは貴重な食料となる。毎年秋になると、お腹が満たされたキタリスたちは集めた松の実を土の中に隠す。
キタリスは記憶力が高いわけではないため、その隠した松の実の存在を忘れてしまい、冬を超えてしまうとほとんど見つかることが無い。忘れ去られたキタリスの小さな「宝物」は、いつの間にか苗へと成長していく。
こうしてキタリスは森における「種まきの達人」となり、アカマツの森の再生を促すのだ。
キタリスによるこの行動は、森林の生態系にとって非常に重要なものだ。リスたちによって埋められた種子は、次第に成長し、やがて新たな生命を育むための住処へと姿を変えていく。
ソーナが騎士団の名前を「レッドパイン」としたのは、植えた種子がやがて芽吹き、多くの感染者たちにとっての拠り所となること、そして共に粘り強く生きていくことを願ってのものか。
イギリスの公園では保護を目的に、キタリス独自の「家」を用意する取り組みが進められている。
アークナイツにおいても、ロドスという新たな家を見つけた彼女たちは、ロドスと共にテラの大地に「レッドパイン」の種子を植え、やがてそれが苦しむ人々の支えとなっていくのかもしれない。
参考リンク
https://www.taptap.com/topic/19724418